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- DWSの市場見通し|2024年10月
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「我々は大半の株式市場について株価目標を引き上げました。今後12カ月で企業収益が5~10%拡大すると予想しているためです」とDWSのグローバル・チーフ・インベストメント・オフィサーであるビヨルン・ジェシュは述べています。
#1 市場とマクロ経済
地政学的リスクがある中で、グローバル株式市場の見通しはポジティブ「我々は大半の株式市場について株価目標を引き上げました。今後12カ月で企業収益が5~10%拡大すると予想しているためです」とDWSのグローバル・チーフ・インベストメント・オフィサーであるビヨルン・ジェシュは述べています。 12カ月後の状況が我々の予測に沿ったものになっているかどうかは、米国の動向に大きく左右されます。「我々の基本シナリオは米国経済がソフトランディングし、その後徐々に上向きになる、というものです」とジェシュは付け加えます。 ただし、このポジティブな見通しが実現するには3つの条件が必要です。1つ目として、米国大統領選後に消費者心理が改善する必要があります。2つ目として、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げサイクルによってインフレ懸念が再燃しないことです。3つ目に、現在人工知能(AI)に多大な投資をしている企業が大きな挫折を経ずに、利益率の高いビジネスモデルを段階的に確立していけることです。最大かつ最も予想が難しいリスク要因は地政学的な要因です。特に、一触即発の中東情勢がリスク要因です。 中国政府が最近発表した大規模な景気刺激策によって、中国株式市場の株価は底上げされましたが、ジェシュはこの景気刺激策がグローバル株式市場に長期的にプラスの影響を与えるかどうかについて懐疑的な見方をしています。 「中国は今までの20年間のように世界経済の強力なエンジンではなくなりました」とジェシュは説明しています。むしろその逆です。中国では引き続き不動産危機と内需の低迷が足かせとなっており、国内の過剰生産を欧州や米国に輸出しています。概ねポジティブな見方にもかかわらず、現在、株式投資にはむしろ用心が必要です。 グロース株のバリュエーションは依然として高すぎるケースが多くあります。バリュー株は現在、冴えない経済成長から打撃を受けています。「現時点では、グロース株とバリュー株を組み合わせた投資スタイルが世界分散投資のポートフォリオに最適であると考えます」とジェシュは結論付けています。 |
資本市場を牽引するトピックス
経済:米国に明るい材料、ドイツは引き続き脆弱
- 直近の米国経済のデータはプラス方向に若干のサプライズとなった。9月の非農業部門雇用者数は25万4千人となり、予想を大幅に上回った。また、失業率は4.1 %に低下した。
- ドイツの経済データは引き続きかなりまだら模様。構造問題以外にも、ドイツ経済は工業の割合が高いため、製造業の世界的な低迷から特に深刻な打撃を受けている。
インフレ:インフレ率は引き続き低下 - 中東における衝突がエネルギー価格上昇を招く可能性がある
- 米国のインフレ率はさらに低下した。しかし、エネルギー価格の動向が依然として不確実要素である。中東情勢が不安定であることから、なおさら不透明感が高い。
- インフレ率はユーロ圏でも低下しており、欧州中央銀行(ECB)のインフレターゲットである2%に徐々に近づいている。
中央銀行:主要先進3地域が利下げの方向
- 米国、ユーロ圏、中国の中央銀行はすべて、利下げの方向に舵を切った。これによって需要が喚起されるだろう。
- FRBは直近で50ベーシスポイントの利下げを実施した。景気回復を刺激するために、FRBは2025年9月までに25ベーシスポイントずつの利下げを5回実施すると我々は予想している。
リスク:政治的な問題について、今後の動向は見通せない
- エネルギー価格に影響を及ぼす可能性もあることから、地政学的リスクが引き続き景気回復の最大のリスク要因である。
- ユーロ圏経済の主要リスクは個人消費回復の遅れ、グローバル需要の低迷、米中貿易摩擦の深刻化の可能性。
#2 株式
経済成長のデータは弱含んでいるが欧州株式は有望9月に、再び米国テクノロジー銘柄が牽引する形でグローバル株式市場は史上最高値をつけました。今まで何度もあったように、今年も欧州株式は適度な遅れを伴いつつ米国株式のパフォーマンスに続いています。 「ユーロ圏経済の見通しは明るくないものの、それでも我々は欧州株式に対して前向きです」と欧州株式共同責任者のマーカス・ポッペは述べています。ポッペは状況はそれほど悪化しないと見ています。「我々が期待するような勢いからは程遠い状態ですが、それでも我々はどん底にいるわけではありません」。 ポッペは今後12カ月間で企業収益が5%成長すると予想しています。目を見張るような利益成長ではありませんが、米国株式とのバリュエーションのディスカウントが依然として高いこととも相まって(欧州株式の株価収益率は米国株式の株価収益率を約40%下回っています)、スタート地点は良好であると考えられます。当面の間、欧州株式が米国株式を上回るパフォーマンスを挙げることさえあるとポッペは考えています。2023年の数カ月間、欧州株式は米国株式のパフォーマンスを上回り、その後、主にテクノロジー銘柄に牽引される形で米国株式が再び優勢になりました。 「経済成長が低調な中でも、順調に利益を挙げられるドイツ企業や欧州企業が多数存在しています」とポッペは述べています。経済に勢いが付き始めるとすぐにでも、バリュエーションが非常に割安で有望な企業はそこから恩恵を受けられるでしょう。 ドイツの現状はユーロ圏全体よりもやや厳しくなっています。煩雑な事務手続きが多すぎることや、経済成長の推進力がほとんどなく、さらに生産性が低下していることが主な問題だとポッペは指摘しています。それにも関わらず、ポッペはドイツ株式の見通しが堅調であると考えています。しかし、見かけよりもドイツ経済の状況が良いことがこの見通しの理由ではありません。ドイツ上場企業の多くがグローバルに事業展開していることから、そういった企業はドイツ国内の経済状況と一部無関係でいられることがこの見通しの理由です。 中国政府は国内経済と消費を下支えするために大規模な景気刺激策を打ち出しましたが、この政策からドイツ企業や欧州企業は再び追い風を期待できるでしょうか?足元の高揚感はまたすぐにしぼんでしまう可能性があります。中国の景気刺激策から欧州企業やドイツ企業の業績が影響を受けるようになるには若干時間がかかる可能性があります。「しかし、多くの企業にとって、中国事業は今後12カ月で冷え込むのではなく上向くと私は予想しています。ただし、中国との貿易摩擦がこれ以上深刻化しないという条件がつきます」。 ポッペは欧州中小型株を楽観しています。金利が引き続き低下し、経済が適度な回復基調に乗ると、欧州中小型株には大幅な株価上昇余地があるとポッペは見ています。 |
株式が好調な2024年
2024年初来のグローバル株式市場のパフォーマンス
出所:DWSインベストメントGmbH、2024年9月末時点
米国株式
現在、ヘルスケアセクターがテクノロジー銘柄よりも有望
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ドイツ株式
今年のパフォーマンスは良好 - 適度な株価上昇余地
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欧州株式
中小型株は低迷期を乗り越えられる可能性がある
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日本株式
良好なパフォーマンスだが為替レートが不確実要素
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#3 債券
利下げで国債が恩恵を受ける - イタリア国債が魅力第3四半期に債券は良好なパフォーマンスを挙げました。債券では、利回りと価格は反対方向に動くため、利回り低下を受けて債券価格は大幅に上昇しました。一方で、イールドカーブは再び正常化しました。「既に期待されて織り込み済みであった米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)による利下げによって、長期年限債券の利回りが再び短期年限債券の利回りを上回るようになりました」と金利責任者のオリバー・アイヒマンは説明しています。たとえば、2年物ドイツ国債の利回りは第3四半期に0.9%低下しました。 このような大幅な利回り低下はECBによる追加の利下げに対する市場の期待を反映しています。ただし、アイヒマンはこのペースで利回りが低下し続けることはないと考えています。「さらなる債券価格上昇の余地は小さくなっています」。米国の状況もドイツの状況と似通っています。FRBも利下げを開始し、インフレは落ち着きつつあります。 年限に関しては、柔軟性を高めていく重要性が増しています。直近の市場の動きを受けて、アイヒマンは「最適な年限」というものが存在しなくなっていると見ています。現在、アイヒマンは中期年限のセグメントを選好しています。 今年、イタリア国債は特に好調で、9月末時点で5.4%のトータルリターンを達成しました。リスクプレミアムは特に高いわけではないものの、流動性の高い現在の市場環境においてイタリア国債は引き続き魅力的なリターンを生むとアイヒマンは予想しています。 |
第3四半期に国債が巻き返し
2024年初来と2024年第3四半期のパフォーマンス
出所:DWSインベストメントGmbH、2024年9月末時点
米国国債 (10年物)
利回りは引き続き若干上昇すると予想
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ドイツ国債 (10年物)
近い将来、大きな利回り変化はない見込み
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新興国ソブリン債
魅力的なリターンでリスクが報われる
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社債
投資適格
ハイ・イールド
#4 通貨
ユーロ/米ドル
ユーロ圏の経済成長が低迷しているため、ユーロはむしろ弱含む可能性がある
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#5 オルタナティブ資産
金
今年の好調なパフォーマンスにも関わらず、アップサイドの可能性が残されている
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凡例短期および長期見通し 指標は、DWSが当該資産クラスに関して上昇、横ばい、または下落の見通しを示しています。 |
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データや見通し等は記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
出所:DWSインベストメントGmbH、2024年10月7日時点
ご留意事項
当資料は、情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品の推奨や投資勧誘を目的としたものではありません。
当資料は、信頼できる情報をもとにDWSインベストメントGmbHが作成し2024年9月6日に発行したものをドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が翻訳して提供しておりますが、正確性・完全性についてドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が責任を負うものではあり
ません。
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