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レポートの要約
本レポートでは、2020年9月末基準での主要資産クラスの長期市場見通しをご紹介します。
新型コロナウイルスがもたらした危機により、世界経済は戦後最悪の景気後退を記録しました。2020年3月基準の見通しでは、今回の危機の深さや期間に対する不透明感が強かったことから、3通りのシナリオを想定して長期リターンへの影響を評価しました。しかし、配当引下げや企業倒産リスクが価格形成に反映されるなど、経済や金融市場のファンダメンタルズに対する先行きの不透明感が緩和したことから、本レポートでは迷うことなく1つのシナリオに基づいて今後10年間のリターンを予想しました。
新型コロナウイルス感染拡大の経済への打撃は当初著しいものでしたが、底からの回復は迅速でした。世界全体では、今年の経済生産は4.4%の下落が予想されており、来年は5.2%の成長となる見込みです。米国においては、経済の損失はリーマンショック・世界金融危機時に匹敵する水準です。欧州では、経済への影響は更に深刻ではあるものの、経済生産の損失は世界金融危機と続くユーロ危機の期間と比較すれば小さくなる見込みです。これらの大部分が、中央銀行や政府による迅速な対応に支えられた結果と言えます。
ただし、この救済措置は多大な費用を要しており、今後数年間にその影響が顕在化するでしょう。現在、DWSのモデルはMSCIオール・カントリー・ワールド指数(ACWI)の今後10年間の予想リターンを年率5.0%と推定していますが、過去10年間の実績リターンの半分程度に過ぎません。また、分散されたモデル・ポートフォリオの予想リターンは年率4.2%となり、6月末の見通しから0.7%、3月末の見通しからは1.5%引き下げました。一方で、依然として株式とオルタナティブ資産には魅力的な投資機会があります。先進国REITや世界インフラ資産の今後10年間の予想リターンは年率6.5%であり、投資家にとって不可欠な分散効果と良好なインカムの両方をもたらすでしょう。