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レポートの要約
世界金融危機から10年以上が経過した今、様々な資産が名目リターンと実質リターンの両面で大きな利益を生んだことから、投資を長期間続けることの重要性を投資家は再認識しました。一方で、次の10年間に期待されるリターンは相対的に低くなると予想されますが、過去10年間のリターンを牽引した3つのファクター【バリュエーション、成長、中央銀行】を考慮しながら、様々な資産の今後10年間のリターン見通しを「DWS長期市場見通し」としてまとめました。
その要点は以下の3つです。
- 期待リターンは12カ月前と比べて約1%の低下、期待リターンの高い資産はESGの課題に直面する可能性あり
- 成長は重要なリターンドライバーであり続けるが、構造的な低成長に加えて、一部の新興国ではGDP成長が企業の利益成長に結びつかない恐れあり
- 投資家は投資目標を達成するためには、様々な資産の様々なリターンドライバーまで掘り下げて検証しなければならない
より控えめなリターンが期待される環境下では、厳格で規律のあるポートフォリオ構築アプローチを活用する、戦略的資産配分(ストラテジック・アセットアロケーション)がより重要となります。
当レポートでは、DWSマルチアセット運用における戦略的資産配分の土台となる長期市場見通しについて、期待リターン導出のフレームワークを含めて解説します。この「DWS長期市場見通し」は10年の投資期間を前提としたモデルに基づいており、今後12カ月の見通しである「DWS CIOビュー」との比較は適当でない点は注意が必要です。当レポートの根底には、投資ポートフォリオの構築には1~5年を超えた長期的な視点を持つべきとの我々の信念があります。
各資産クラスについては、以下の5つが重要な点です。
- 債券において、新興市場の米ドル建ハイ・イールド債とソブリン債が最も高いリターンを期待できる
- 他の資産クラスと比較して、実物不動産は高いリターンを期待できる
- 概して株式は債券よりも魅力的であるが、一部のクレジットには投資機会が存在する
- コモディティの期待リターンは低いが、ポートフォリオにおける分散効果が期待できる
- 外国為替が自国通貨ベースでのリターンとボラティリティに与える影響を意識し、リスク・リターンの目標に応じて、通貨ヘッジを検討すべき