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2016年12月26日

知られざるそば大国「ロシア」

ロシアが世界最大級のそばの生産国であるという事実は日本ではあまり知られておらず、つい最近までロシア産のそばが注目されることはほとんどなかった。ところが、2014年ごろから日本のそば関係者の間で、ロシア産のそばへの関心が急激に高まっている。その背景には、日本で消費されるそばの半分以上を占める中国産のそばの調達が困難になる気配が見え始めているという事情が存在する(日本のそばの自給率は2~3割で、7~8割は中国や米国からの輸入に頼っている)。以上の状況を踏まえ、今回はロシアのそばの生産、国内消費、輸出の現状をご紹介する。

 

生産―中国やウクライナとトップを争う

ロシアのそばの生産量は年によって増減が激しいものの、同国は常に中国やウクライナとトップ争いを繰り広げる世界最大級のそば生産国である。ロシアの2006~2015年のそばの年間生産量の平均値は約76万5,000トンであるが、2015年は比較的豊作で86万トンに達した。

ロシアの地方の中で最も生産量が多いのはシベリアのアルタイ地方で、全体の43.0%を占める(2015年の実績)。ただし、地理的に近いことから日本へのそばの供給源として期待がかけられているロシア極東地方の生産量は今のところそれほど多くなく、ロシア全体の生産量に占めるシェアは2015年時点で1%程度(実数ベースで8,000トン弱)となっていた。

 

消費量―日本の5~6倍をロシア国内で消費

ロシアは世界最大級のそばの消費国でもあり、年間消費量は日本の5~6倍の60万~70万トンに達する。日本とロシアの人口の差はそれほど大きくないので(世界銀行によれば2014年時点で順に約1億2,700万人と約1億4,400万人)、国民1人当たりの消費量もロシアの方が遥かに多いことになる。日本では麺にして食べることがほとんどだが、ロシアでは実のまま干した後ひき割りにして茹でたものを、料理のつけあわせとして食べることが多い。また、そば粉をクレープのように焼いた「ブリヌィ」(バターや蜂蜜をのせて食べることが多い)という料理や、そばを使用した「カーシャ」と呼ばれるミルク粥は、ロシアでは食卓の定番メニューとなっている。このように、ロシアでは、そばは食卓に欠かせない食材のひとつであり、不作の年には、そばの価格の抑制や品不足への対応がロシア政府の主要な課題のひとつとなる。

 

輸出―日本への輸出量が急増

上述の通り、ロシアではそばの国内消費量が非常に多くなっているので、輸出量は生産量から受ける印象ほど多くなく、2013年時点の数字は3万トン未満であった。当時の輸出相手国別の状況を見ると、ウクライナとリトアニアへの輸出量が圧倒的に多く、2カ国で全体の8割以上を占めていた。一方、日本への輸出量は少なく、全体の2.6%を占めるにすぎなかった。

ところが、ウクライナとの関係の悪化で同国への輸出量が激減したことや、日本企業のロシア産のそばに対する関心が急激に高まったことなどもあり、2014年の日本へのそばの輸出量は前年の10倍以上の8,600トンに達した(ロシアの調査会社「ABセンター発表の数字」)。その結果、日本は一躍ロシア産ソバの最大の輸出相手国となった。2015年に入り日本へのソバの輸出量は若干減少しリトアニアに次ぐ2位の座に甘んじることになったが(実数ベースの輸出量は7,160トンであった)、2016年に入ってから再び増加に転じており、第1四半期の輸出量は約2,000トンに達した(ロシア連邦関税局発表の数字)。

現時点では、最大の産地であるシベリアのアルタイ地方が日本向けのそばの主要な供給源となっていると推測されるが、日本から地理的に近い極東地方でも日本への輸出を視野に入れたそば栽培プロジェクトが動き出しており、今後、ロシアから日本へのそばの輸出量がさらに増えることを期待したい。

執筆者:
一般社団法人ロシアNIS貿易会・
ロシアNIS経済研究所

嘱託研究員   坂口 泉

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