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2016年12月26日

ロシアでは不況下でもフィットネスクラブが成長

右肩上がりで拡大するフィットネスビジネス

2015年のロシアの国内総生産(GDP)は前年同期比3.7%のマイナスとなり、2016年もマイナス成長には歯止めがかかっていません。日系企業のビジネスの中心となってきた自動車分野でも、2015年のロシア市場における乗用車販売台数は36%も落ち込み、2016年に入っても10%以上の落ち込みが続いています。

しかし、このような不況下にあっても、伸びている産業や市場というのは存在するものです。その一例として、今回はフィットネスクラブの事例を紹介したいと思います。

ロシアでは、フィットネスクラブ/スポーツジムのビジネスが右肩上がりの成長を続けています。現地通貨ルーブル表示の市場規模は、2014年時点で950億ルーブル程度と推計されています(約1,720億円、1ルーブル=約1.81円、2016年12月9日現在)。確かに、ルーブル建の同ビジネスの成長率は、2014年の30%から、2015年には13~18%程度へと鈍化する見込みでした(2015年10月時点)。また、2015年のロシアのインフレ率が10%台だったことも考慮すべきでしょう。それでも、この不況下で、依然として拡大を続けているフィットネス産業は、やはり注目に値すると思います。

ロシアでのフィットネスクラブの利用人口は、2013年の時点で、170万人程度と伝えられています(うち女性が56%)。売上高、利用人口とも、まだ日本の半分弱の規模ということになります。ロシアでは現在、3,700あまりの事業者が、フィットネスクラブの経営に当たっているということです。業界最大手は「ロシア・フィットネス・グループ」社であり、同社の2014年の売上高は60億ルーブル(約109億円、1ルーブル=同上)でした。

 

国民の意識の変化

なぜ、マイナス成長の中でも、フィットネスビジネスは強いのか?それは、この産業の成長が、ロシア国民の意識やライフスタイルの変化に支えられているからだと思います。

ロシア人の女性と言えば、シンクロや新体操で見るスリムな美女を連想する方が多いかもしれません。しかし、実はかつての社会主義体制下のソ連では、肥満体形の女性がかなり目立ちました。最大の原因は、ソ連時代の偏りの大きい食生活にあったようです。硬直的な計画経済の下では、肉を買うことはままならず、新鮮な野菜や果物もきわめて入手困難でした。いきおい、国民はパン、ジャガイモ、砂糖、油などを過剰に摂取するようになり、それが原因で、とくに女性が肥満体形になりやすかったと考えられます。驚いたことに、ソ連の人々は「カロリー」という概念を基本的に持ち合わせていなかったというのです。

しかし、新生ロシアの時代になって、肥満女性を見かけることはめっきり少なくなりました。市場経済に移行して、食料品の品揃えが改善し、バランスのとれた食事ができるようになったことが大きいようです。

そして、健康や美容に関する情報量が増え、国民の意識が大きく変わりました。そうした中で、若い世代やミドル~アッパークラスを中心に、単に食生活を改善するだけでなく、アクティブに体を動かして、健康で美しい体形を維持しようとする人たちが増えてきたわけです。

ちなみに、ロシア政府も国民が運動・スポーツに従事することを積極的に奨励する政策をとっています。ロシア全国で継続的に実施されているアンケート調査によると例えば、「貴方は運動・スポーツをしていますか?」という質問に対し、2006年には、「はい、習慣的に」という回答者は9%、「はい、時々」という回答者は16%しかいませんでした。それが、2015年には、それぞれ16%と24%に増大しています。このアンケート調査の結果を見るとロシア政府の政策に結果が出てきていると言えるでしょう。

執筆者:
一般社団法人ロシアNIS貿易会・
ロシアNIS経済研究所

調査部長  服部 倫卓

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