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2016年12月26日

あまり貯蓄をしないロシア国民

消費主導の経済成長には終止符

ウクライナ危機を背景に、ロシアでは2014年後半から急激に景気が後退しました。2015年には、国内総生産(GDP)が前年比3.7%のマイナスとなるなど、主要経済指標が軒並み悪化しています。2016年も引き続きマイナス成長に終わることが確実視されています。

特に、国民生活関連の指標の悪化が目立ちます。2015年の国民の実質可処分所得は前年比4.3%減、商品小売販売高は10.0%減でした。2016年に入っても、実質可処分所得と商品小売販売高はそれぞれ5%程度の落ち込みを記録しています。消費者物価も沈静化には程遠い状況です。

ロシアでは、リーマン・ショックの時期ですら国民の実質所得が伸び続け、個人消費が経済成長の原動力となってきました。しかしながら、2014年後半以降に生じた異変により、その構図に終止符が打たれたことになります。

 

貯蓄のある国民はわずか35%

ただ、ロシア国民の消費行動には、独特な面があります。良く知られたところでは、経済危機になると人々が自らの資産を守るために、一時的ではあれ、資産価値のある高級車などの高額な商品が良く売れ出す傾向があります。我々がロシアを見たり、同国とビジネスをする上では、そうした国民の特質を踏まえておくことが必要でしょう。

先日、興味深い調査が発表されました。ロシアの有力な調査機関である「世論調査基金」が、2015年6月にロシア全土で18歳以上の回答者1,500人を対象に、国民の貯蓄の実態・意識をアンケート調査したものです。

この中で、「現時点で、貴方(貴方の家族)には貯金、金銭的な蓄えがありますか?」と尋ねたところ、59%が貯蓄はないと答え、あると答えた35%を大きく上回りました。

別の設問で、「貴方(貴方の家族)は普段、自分の所得を日常生活でどのように使っていますか?」と尋ねたところ、「すべて当座の支出に使ってしまい、何も残らない」:53%、「当座の支出にお金を使い、残ったものは貯蓄する」:33%、「最初から(大きな買い物のために)ある程度残しておき、残りのお金を当座の支出に充てる」:11%、という結果が出ました。やはり、ロシア国民の消費行動は、かなり刹那的なようです。

さらに、「現在は、貯蓄を行う上で、良い時期だと思いますか?」と尋ねたところ、「良い時期である」:9%、「良いとも悪いともいえない」:33%、「悪い時期である」:45%と答えが分かれました(回答困難が13%)。現在のように、景気が悪い時は、貯蓄をするのに悪い時期だと考える人が多いのは、ロシア国民ならではかもしれません。

ちなみに、貯蓄を保有している人に、その通貨を尋ねたところ(複数回答可能)、ルーブル:92%、米ドル:7%、ユーロ:4%という回答結果になりました。国民がルーブルの目減りを懸念しているからこそ、高額商品が売れたり、貯蓄のモチベーションが下がったりしているはずですが、実際にはルーブルで持っている人が多いというのは、やや意外な結果です。

最後に、どんな形態で貯蓄を保有しておくのが良いと思うかを、貯蓄のある・なしにかかわらず全回答者に尋ねたところ、銀行口座:38%、現金を手元に置く:20%、一部を銀行口座で、一部を現金で:20%、その他の形態:9%、回答困難:13%、という結果になりました。ロシアではタンス預金もかなり有力な選択肢になっていることが分かります。利子が付かないにもかかわらず、手元に置いておいた方が得策と考えている人が少なくないことを示しており、それだけ銀行への信頼感が高くないのだと思われます。

執筆者:
一般社団法人ロシアNIS貿易会・
ロシアNIS経済研究所

調査部長  服部 倫卓

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