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2016年12月26日

ロシアの消費市場の現状

原油価格の下落や通貨ルーブル安の影響を受けてロシアの消費市場は2015年以降、全般的に冷え込んでいる。本稿では、ルーブル安の影響により2015年以降の落ち込みが特に大きい乗用車、パソコン、衣料品の3商品を取り上げ、それぞれの市場の現状をご紹介する。

 

乗用車市場

ロシアの乗用車市場では2013年春ごろから販売が伸び悩む傾向が見えていたが、2015年に入りその傾向が強まり、同年の販売台数は前年比35.7%減の160万台にとどまった。2015年の極端な販売不振の最大の理由は、2014年夏以降の急激なルーブル安の影響を受け、輸入車を中心に販売価格が急上昇したことにある。2016年に入ってからも不振は続いており、1~9月期の販売台数は不振だった前年同期をさらに14.4%下回る102万台にとどまった。

ただ、興味深いのは、不況にもかかわらず高級車の売れ行きは全般的に比較的堅調だという点である。例えば、ほとんどのブランドが大幅に販売台数を落とす中、レクサス(日本)の2016年1~9月期の販売台数は前年同期を14%も上回った。その他、BMW、メルセデスベンツ(いずれもドイツ)の販売も比較的堅調であった。これは、景気動向の影響が小さい富裕層が、投資の意味合いもあって、資産価値の高いプレミアムブランドの車を積極的に購入した結果ではないかと推測される。

 

パソコン市場

IDCという調査会社が発表したデータによれば、2015年に入ったころからロシアのパソコン販売台数は急激に落ち込み始め、同年の販売台数は前年比38.4%減の487万台にとどまったとされている。その後も販売の落ち込みは続いており、2016年第2四半期の販売台数は前年同期比13.7%減の110万台にとどまった。

ブランド別の状況を見ると、2016年第2四半期に最も販売台数が多かったのはLenovo(中国)で、その市場シェアは23.1 % に達した。以下、Asus(台湾) : 22.3 % 、HP(米国):15.7%、Acer(台湾):14.8%、Dell(米国):4.0%、その他:20.1%となっている。列挙したブランドの顔ぶれからもわかる通り、ロシアのパソコン市場は輸入品に席巻されており、2015年初頭から続く極端な販売不振の主因は、乗用車のケース同様に、急激なルーブル安に伴う販売価格の高騰にあると考えられる。その他、最近ロシアでタブレット端末の人気が高まっていることも、パソコン販売の不振の一因となっているとの説も存在する。

 

衣料品(靴を含む)市場

輸入品が中心となっている衣料品市場の場合も、やはりルーブル急落の影響を強く受け価格が全般的に上昇したため、2015年に入り不振に陥った。ロシアの調査会社「RBKリサーチ」によれば、同年の衣料品市場の規模は前年比で約10%、靴市場の規模は約13%それぞれ縮小したとされている。ロシアに進出している有名外国ブランドの多くも販売不振に苦しみ、2015年のアディダス(ドイツ)のロシアを中心とするCIS 市場での売上高(ユーロ建) は前年を32.7%も下回った。2016年に入りアディダスなどでは状況が改善されてきている模様であるが、多くのメーカーがいまだに苦戦を強いられている。

 

以上からわかる通り、ロシアの消費市場では厳しい状況が続いているが、同国のマーケットが産油国特有の爆発力を秘めており、原油価格が上昇すればV字回復も十分に考えられるという点は忘れてはならないだろう。今は、過度に悲観的になることなく、その時に備えた準備を入念に行う時期といえるのではなかろうか。

 

執筆者:
一般社団法人ロシアNIS貿易会・
ロシアNIS経済研究所

嘱託研究員   坂口 泉

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