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2019年5月10日

ロシア市場好調!

【株式・債券ともに好調】

ロシアの株式市場が好調です。2013年末以降のロシアを取り巻く様々な環境を振り返ると、欧米諸国からの制裁強化や原油価格の急落、またそれらに伴う景気悪化局面入り等、マイナスの影響となり得る要素が数多くありました。その中でもロシアの株式市場は変動性を伴いつつも堅調な推移が続いています。
好調さは債券市場も同様です。過去5年で見ると、ロシア国債市場、ロシア社債市場共に、足元最高値付近で推移しています。

【キーワードは“利回りの高さ”】

ロシアの株式及び債券市場の魅力を表すキーワードは“相対的な利回りの高さ”と考えます。

<株式市場>

ロシア株式市場には配当利回りが高いという特徴があります。これには上場銘柄に国有企業が多く、政府が企業に対し高い配当性向の維持や引き上げを要求しているという特殊な事情が背景にあります。ロシアの株価指数であるMOEXロシア指数(ルーブル建)のリターンを配当の有無で比較すると、過去5年で配当込みのリターンが配当を除く場合を約50%上回っており、高配当銘柄への投資の効果がいかに大きいかが良くわかります。このような市場の特徴等から、ロシア市場は特に中国等、ほかの新興国市場に比べ株価の変動性が相対的に小さくなると共に、市場急変時には底堅さを発揮する場面が過去にも散見されています。




<債券市場>

債券市場ではロシアの相対的な利回りの高さに対する魅力が足元増しつつあると考えます。米国は利上げの停止を示唆し、また欧州では金融緩和姿勢の強化が打ち出される等、これまで拡大傾向にあった景気局面が転換しつつある中、先進国の金利水準は軒並み低下しています。このような環境下、利回りを求める投資家からの資金が、相対的に高い利回りを有し且つ現在『投資適格級』が付与されているロシアの国債に流入しているものと思われます。


【なぜロシアが今好調なのか?】

ロシア市場が好調な理由の1つに、米国による対ロシア制裁への市場の過度な警戒感が和らいだことがあると考えます。
2013年にロシア軍がウクライナに侵攻して以降、各国はロシアに対し制裁を実施してきました。中でも米国はウクライナ問題に加え、2016年の大統領選挙にロシアが介入したとの疑惑や、英国で起きたロシア元情報機関員らの暗殺未遂事件にロシア政府が関与したこと等を理由に、断続的に制裁を強化、その度にロシア市場の重石となってきました。
中でも2018年8月に米国上院超党派グループが議会に提出した追加制裁法案は、ロシア市場に多大な影響を与えるとして市場の懸念材料となっていました。具体的には、新規に発行されたロシア国債(満期14日以上)の米国国民による取引の禁止や、米国及び米国国民によるロシアの国営金融機関との取引の制限に加え、それらの企業の株式に保有制限を設ける等といった、かなり厳しい内容です。
しかし未だ審議の進展が見られず、時間の経過と共に市場の注目も徐々に薄れてきているのが現状です。
また、その他にロシア市場を下支えしている要因としては、原油価格が堅調に推移していることもあると考えます。

【今後の注目ポイント】

これまで同様、今後も制裁がロシア市場を左右するものと見ています。なお、米国がロシアへの追加制裁実施に依然強い意欲を示していること、また大手格付会社が提出されている通りの制裁が課された場合には格付の引き下げもあり得るとしていること等から、制裁が課される蓋然性が高まったときは市場の警戒感が強まると見られます。
一方で、ロシアが国を挙げて経済をさらに強固なものへ導こうとしていることが、追い風になると注目しています。
2018年に大統領再選を果たしたプーチン大統領は、ロシアを世界5位以内の経済大国とすることや、人口拡大、技術進歩等を目標として掲げています。それらを実現するためにロシアでは2019年~2024年に渡って「国家プロジェクト」の実施が予定されています。政府発表によると、連邦財政から約13兆ルーブルが支出され、その他外部からの投資等によって資金調達を行う模様です。
ロシア経済発展省は2018年10月時点の見通しで、当該国家プロジェクトにより、2021年以降の経済成長率は3%を超えると予測しています。潜在成長率が低いロシアにとって投資率の改善は課題の1つであり、投資による景気押し上げ期待により、ロシア市場をサポートする可能性があります。
なお、これまで低下していた非居住者によるロシア国債の保有比率は足元増加に転じています。追加制裁懸念が燻る中でも海外の投資資金がロシアに再び戻ってきている点は、ロシアの投資妙味が高いことを物語っており注目に値します。






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