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2018年9月18日

ロシア中銀、政策金利を7.50%に引き上げ

◆ロシア中央銀行(以下、「中銀」)は市場予想に反し、政策金利を引き上げ7.50%としました。
◆中銀は利上げの背景として、ルーブル安に伴いインフレリスクが高まったことを挙げています。なお、2018年9月末までとしていた外貨買入/ルーブル売却オペレーションの停止期間を年末まで延長しました。
◆引き続き米国による追加制裁を警戒した、変動性の高い状況が続くと考えられます。

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【市場予想に反し0.25%の利上げ】

中銀は2018年9月14日(現地時間)、主要政策金利を0.25%引き上げ7.50%とすることを決定しました。なお、政策金利の引き上げは2014年12月以来のことです。

事前予想では2018年8月のインフレ率が前年比3.1%と政策目標(4.0%)を下回っていたことから、「据え置き」が優勢でした。


【中銀は将来のインフレリスクを危惧】

声明文では、今回の決定の背景として「前回会合時と比較し、外的要因により将来のインフレリスクが急激に高まった」としています。また、インフレ率が政策目標に達する速度が予想を上回っているとも述べています。

加えて、外的要因により、ルーブルに対する売り圧力が強まり、その結果ルーブル安につながっているとも言及しています。

このような状況を考慮し、中銀は2018年9月末までとしていた外貨買入/ルーブル売却オペレーションの停止期間を年末まで延長することを決定しました。


【制裁強化への警戒感】

足元ロシア市場が弱含んでいる背景には、米国が対ロシア制裁のさらなる強化を検討していることがあります。

米国はウクライナ問題やロシアによる米国大統領選挙への干渉、ロシア元情報機関員らの暗殺未遂事件等を受け、都度制裁を強化してきました。具体的な内容には①ロシアの大手金融機関やエネルギー企業等に対する融資の制限(2014年7月)、②米国大統領が対ロシア制裁を緩和・解除する際には米国議会が審査を実施(2017年8月)、③一部のロシア民間企業の債券・株式の取引禁止(2018年4月)、④米国の安全保障上必要とされる製品/技術の対ロシア輸出の禁止(2018年8月)等が挙げられ、いずれもルーブル安につながりました。

一現在、米国議会には米国人による新規に発行されたロシア国債の取引やロシア大手銀行との取引を制限する法案が提出され、検討が行われています。実際に取引が制限された場合、ロシア財務省は債券の新規発行を取りやめ、市場のロシア債券への売り圧力を抑制する方針です。さらに、市場が機能不全に陥ったとみなされる際には、ロシア政府や中銀が現地通貨建債券を購入する用意があるとしています。このようにロシア当局は緊急時にも柔軟に対処するとしていますが、市場の対ロシア追加制裁への懸念は根強く、ルーブルは安値圏で推移しています。


【外的ショックに対する耐性は向上】

欧米諸国からの経済制裁に加え、主要輸出品目である原油の価格が2014年半ば以降急落したことにより、財政悪化や景気悪化等、厳しい環境が続いていました。しかしながら、経済・財政の安定性に重点を置いた政策を遂行してきたことで、現在ロシアは、経済・財政ともに健全な状況にあるといえます。

ロシア当局は短期的な景気刺激策よりも、中長期の安定性を 優先し、資金流出時のリスクの低減に重きを置く政策を採用し てきました。その結果、経済成長率の伸びは他の新興国に比 べ低い水準となっているものの、財政収支が2018年に黒字化 すると見込まれています。なお、財政黒字を達成している国は 世界でも殆ど見られません。

また、外貨準備高は継続して積み上がっており、経常収支も黒字を維持する等、経済、財政ともに安定性が高まっています。

新興国市場は、アルゼンチンやトルコの情勢不安等を受けて、対外的なショックに対する脆弱性が懸念され、通貨安が続いています。その影響はロシア市場にも及んでいるものの、安定した財政基盤を有する点では、他の新興国よりも外的ショックへの耐性があると見込まれます。


【今後の見通し】

今回の中銀の決定は、ルーブルを下支えする内容となっており、発表後にルーブルは対米ドルで、若干上昇しました。中銀は、今後インフレ状況に応じ追加利上げの可能性を示唆していますが、インフレ率が政策目標以下で推移していることや緩やかな経済成長が続いていることから、今回の利上げが「利上げサイクル入りの兆し」となる可能性は低いと考えられます。

なお、中銀は引き続き市場や物価動向を睨み、柔軟性を持って金融政策を決定していくものと考えられます。

ロシア市場については、引き続き米国からの追加制裁を警戒し た、変動性の高い状況が続くと考えられます。仮に、将来的に 制裁の不透明感が後退すれば、ロシア当局の慎重な政策運 営に加え、堅調な原油価格の推移等がプラス材料となり、高い 利回りを求める投資家の需要が強まるとも想定されます。


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