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2017年8月3日

ロシアに対する制裁について

◆米国議会はロシアに対する制裁強化法案を可決しました。これまで米国と欧州連合(EU)は制裁において足並みを揃えてきたため、今後はEUの動向等が注目されます。
◆制裁が科される中においても、ロシア経済は回復が継続しています。

【米国議会、対ロシア制裁強化法案を可決】

米国議会は、ロシアに対する制裁強化法案を可決し、8月2日にはトランプ大統領が当該法案に署名しました。

これまで米国はロシアによるウクライナ・クリミア侵攻への抗議として2014年より制裁を科していましたが、2016年の米国大統領選挙への干渉を目的としたサイバー攻撃(いわゆるロシアゲート事件)についても制裁を発動していました。足元ではその内容を強化すべきとの議論が行われていました。

米国で制裁が強化された背景にはトランプ大統領の存在があります。トランプ大統領は大統領選挙時から米ロ関係の融和路線を示し続けており、外交トップである国務長官に親ロシア派であるティラーソン氏を登用する等、よりロシアに歩み寄る姿勢を見せてきました。なお、トランプ大統領はこれまで数週間に渡り議会に対し法案の内容を緩和するよう働きかけてきた模様ですが、今回はそんなトランプ大統領の動きを議会が牽制することが狙いと見られ注目されていました。なお、採決においては下院/上院ともにほぼ全会一致で可決され、トランプ大統領の対ロシア外交に対し議会が強く反対の意思を示したものと考えられます。

一方で、ロシアは7月30日に対抗措置として、ロシア国内にいる米国の外交スタッフのうち約3分の2に当たる755人を国外退去するよう米国に通告しました。

<議会で承認された主な法案>

・ロシアに対する制裁を緩和/解除する際には議会の事前の協議を必要とする。
・ロシアのエネルギー輸出パイプラインの建設を支援する企業等に対して、米国は同盟国と連携して制裁を科すことができる。
・鉄道、金属・工業セクターの国営企業による資金調達を制限する権限が財務省に与えられる。

【制裁に対する足並みは崩れる】

一方の欧州連合(EU)は米国の制裁強化法案について、ロシアとビジネスを行っている欧州の企業が制裁の対象になる可能性があることや、ロシアの天然ガスをドイツに運ぶパイプライン事業に関与する企業に影響が及ぶこと等に懸念を示しており、米国の制裁強化法案可決を批判しています。これまで米国とEUは同時期に同様の制裁を実施する等、足並みを揃えてきましたが、今後はEUの動向等に注目されます。

【ロシアへの影響】

今回は米国単独での制裁強化であり、ロシアとの経済的な結びつきが強いEUにおいて制裁が強化されない以上、ロシア経済への影響は軽微にとどまると見ています。

ロシアは生産活動の回復や個人消費の持ち直しから、昨年までのマイナス成長から転じて今年はプラス成長となると見込まれています。加えて、ロシアの外貨準備高は2015年半ばから緩やかな増加傾向にあり、外的ショックに備えていること等も、新興国の中で投資対象として選好される一因と考えられます。また、格付会社による投資適格級への回復期待が残存していることや主要輸出品目である原油の価格が落ち着いた推移となっていること等を踏まえると、ロシアの高い利回りを求める動きは継続することが予想されます。

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