2016年2月3日

中国企業の日本不動産買い急増


週刊エコノミスト 2016年2月2日号(1月25日発行)掲載
執筆者:ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
アジア太平洋リサーチ&ストラテジーヘッド ディレクター 小夫 孝一郎


  中国市場が混乱する一方で、中国・香港企業による日本への不動産投資は急増している。投資用不動産で見た投資額の合計は、2014年の約800億円から15年は約3700億円に拡大。15年の日本の不動産投資額で最大の目黒雅叙園に投資したのも中国投資有限責任公司(CIC)だ(表)。

 

(注)*は推定。個人富裕層による住宅投資などは含まない。「イデラキャピタル」は「イデラキャピタルマネジメント」の略で、復星集団の傘下
(出所)報道などを基にドイチェ・アセット・マネジメント作成


  中国・香港企業による日本への不動産投資は、その性質から大きく三つに分かれる。

 一つは、欧米なども含めた国際的な分散投資の一環としての投資で、対象はオフィスビルが多い。円安もあり近年増えている。積極的な企業は、中国のコングロマリット「復星集団(フォーサングループ)」、日本の不動産会社を買収した香港の投資会社「PAG」など。彼らが狙う地域は東京と大阪が主体で、東京では意外にも都心部から少し外れた場所が多い。これは日本人や欧米人が指標にするキャップレート(利回り)ではなく、平米単価を指標にしており、平米単価で見るとこうした地域が割安になるため。ただし、高値に対する警戒感が出始めているので、今後この分野の投資が大きく増えるかは不透明。逆に売却する事例もある 。

 二つ目は、インバウンド目当てのホテルや商業施設への投資で、こちらはまだ拡大余地がある。報道によると、積水ハウスは、中国の春秋航空グループと資本提携する方針で、春秋の就航先のホテルや商業施設開発などに協力するという。北海道など地方のホテルも人気で、こうした動きは今後も増えそうだ。

 三つ目は、富裕層の中国人個人による投資で、対象はマンションなどが多い。目的は、投資、自分で住む、将来子どもを留学させる、海外への資金逃避など。ただし、日本はビザや言葉の問題も多いため、日本よりも欧米や豪州の住宅に投資する中国人の方が多い。

 なお、これらの投資は日本がバブル期に米国本土やハワイ、豪州で行った投資と類似していると見ることもできる。


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執筆者のご紹介

    小夫 孝一郎
    ドイチェ・アセット・マネジメント(株)
    不動産投資運用部 ディレクター

    1995年住友銀行(現三井住友銀行)入行。調査部アナリストを経て、ロンドン駐在のシニア・リサーチ・アナリストとして欧州不動産・テレコムセクターの調査を担当。2006年より同行企業調査部(東京本部)にて建設・不動産チームのグループ長を務める。2007年ドイツ証券入社。不動産投資銀行部に所属し、日本及びアジア太平洋地域の不動産市場の調査を担当。2013年にアジア太平洋リサーチ&ストラテジー・ヘッドに就任。2015年10月よりドイチェ・アセット・マネジメント株式会社所属。

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