2015年7月13日

NISA口座をうまく活用するには、どのような投資商品が良いのか。

買付実績は投信6割超、株3割 資産配分を調整する投信が向く


週刊エコノミスト 2015年7月6日号掲載
執筆者:ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
企画部 ファイナンシャル・ストラテジスト 藤原 延介


 NISA(少額投資非課税制度)のスタートから1年半が経過した。金融庁が発表した最新のNISA利用状況の統計によれば、2015年3月末までの1年3カ月間にNISA口座を経由した投資総額は4.4兆円に達した。15年1~3月だけで見ると1.4兆円の買い付けで前年同期比43%増となっており、NISA利用の動きが広がっているようだ。

 NISAの制度について確認すると、各年1月1日時点で20歳以上の国内居住者などが開設できる口座で、適用期間は14年から23年までの10年間、各年の投資で最長5年間の株式や投資信託にかかる値上がり益や配当金が非課税となるというものだ。毎年100万円ずつ非課税投資枠の設定ができるが、16年からは120万円に増額されることが決まっている。

 さらに、16年4月からは20歳未満向けの非課税口座であるジュニアNISAもスタートする予定だ。ジュニアNISAはゼロ歳からの口座開設が可能で、18歳までの引き出しが制限されていることを勘案すると、5年どころではなく、10年単位で有望な投資商品を選んでいく必要がある。

過度な分配をする投信は避ける

 それでは、NISA口座にはどういった商品が適しているのだろうか。

 表を見ると、NISA口座における買い付けは、上場株式と投資信託が主流になっていることが分かる。15年3月までの累計買い付け額では、上場株式が31.7%に当たる1.4兆円、投資信託が66.1%に当たる2.9兆円である。ある程度の投資経験があり、ハイリターンを狙う投資家は上場株式に投資するケースが多いようだ。個別株式の場合、数倍に値上がりするケースもあるため、節税金額を最大化するために有効な手段と言える。

 ただし、ハイリターンの裏返しとして、大きく値下がりするケースも想定しておく必要がある。NISA口座での損失は、一般口座(課税口座)の利益と損益通算ができないうえ、5年間のどこで株価のピークが来るのかを見極めるのは容易ではない。各年の投資枠はいったん売却すると再利用できない点も、個別株投資の売買タイミングを難しくする要因と言える。

 そのようなタイミングを気にすることなくNISA口座を活用したい場合は、投信が望ましい選択肢と考えられる。投信は長期投資の器として適していると言われるが、NISA制度の中ではそのメリットがより理解しやすい。5年間という長期の投資においては、株式が有利な局面、債券が有利な局面は時期によって異なることから、アセットアロケーション(資産配分)を調整するタイプの投信がNISA口座に向くとされる。

 また、より高いリターンを狙って株式のみを投資対象とした投信を選ぶ際にも、ファンドの中で割高なものを売却し、割安なものを購入してくれることで、売買タイミングの判断を任せることもできる。さらに、一度にまとまった金額の投資が難しい資産形成層にとっては、1万円ずつ毎月積み立てるといったことも投信では可能になる。

 ただし、NISAの対象となる株式投信は、いつでも購入可能な追加型だけでも5000本を超えており、その選択は容易ではない。投資対象はさまざまであり、個々のリスク許容度に応じて選択すべきだが、NISA口座の有効活用という点で、過度な分配をしないものを選ぶことはどんな投資家にも必要な視点と言えるだろう。

 また、長期での投資を考えた場合、コスト(手数料や信託報酬)の違いが及ぼす影響が大きくなることにも注意が必要だ。NISAが手本とした英国のISAでは、投資家の約8割が投資信託を活用している。日本の投資信託の比率を見ると、まだまだ投資初心者の参加が進んでいないと考えられるが、多くの人が貴重な非課税枠をきっかけに資産形成をスタートすることが期待される。



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執筆者のご紹介

    藤原 延介
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    企画部
    ファイナンシャル・ストラテジスト

    大手信託銀行におけるマクロ経済調査及び株式運用、ロイター・ジャパンのリッパー事業部における投資信託の評価や業界分析業務を経て、2007年より現職。付加価値の高い情報提供を目指し、独自の視点で資産運用業界の最新動向や投資環境を分析している。

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