人生100年時代、資産形成の重要性に注目が集まる中、未来貯金のDCサポートアプリ「みらいナビ」は、ドイチェ・アセット・マネジメントとの協業により、DWSのロボアドバイザー「WISE」によるアロケーション提案機能を追加。その魅力や導入の背景について未来貯金の板山社長にお話を伺いました。
加入者に寄り添ったサービスで投資行動の変化を促す
林 |
御社が提供する「みらいナビ」とは、どういったサービスでしょうか。
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板山 |
スマホアプリによる確定拠出年金サポートサービスです。DC運用に関する包括的なサポートを提供することで、加入者と事業主のそれぞれが抱える課題を解決することを目指しています。
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林 |
具体的にどのような機能を提供しているのですか。
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板山 |
みらいナビの機能は、主に4つの機能があります。
①メッセージの配信、②資産状況の把握、③運用のサポート、④映像コンテンツによる学習です【図表1】。
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【図表1】 「みらいナビ」が提供する4つの機能

※上記はイメージです。
林 |
それらの機能を開発するにあたり、特にこだわった点は何ですか。
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板山 |
加入者の投資行動を根本から変えるためには加入者に寄り添ったサービスでなくてはなりません。煩雑な操作は省き、必要な情報をシンプルに伝えることだけに焦点を当てました。また、加入者一人ひとりにカスタマイズした投資アドバイスを行う機能はビジネス特許を取得した中核となる機能です。
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林 |
その特許となったこだわりの機能の開発に至った背景を聞かせてください。
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板山 |
運営管理機関に勤めていた頃に経験した苦い思いがあります。DC導入時、企業研修の講師として約1000社程度の加入者に説明をしましたが、結局、加入者が知りたい情報は「どの商品を選ぶべきか」であり、商品選別のアドバイスを求めていることがほとんどでした。その経験から、汎用的な投資教育では加入者の投資行動まで変えることは出来ないと感じ、未来貯金の立ち上げに繋がりました。
未来貯金株式会社
代表取締役社長
板山 康男氏
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林 |
DCに加入する従業員への継続投資教育は事業主にとっての努力義務であり、その対応に戸惑いをもっている企業は多いですよね。
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板山 |
そうですね。加入者への投資教育に対する課題意識はどの担当者もお持ちだと感じます。セミナー等では思うように効果が上がらないこともあり、事業主の費用負担も大きくなります。一方、「みらいナビ」は500社近い事業主に継続投資教育のツールとして導入いただいています。実際に導入された事業主全てで、加入者の投資行動に変化が見られたと報告をいただいております。例えば、ある事業主では、「みらいナビ」導入前に5割程度だった元本確保型の保有比率が、導入から約3カ月後には加入者の分散投資が進んだことで2割程度にまで減りました【図表2】。事業主によってスピード感に差はありますが、他のケースにおいても同様の変化が現れているものと考えます。
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【図表2】 「みらいナビ」を購入した企業の加入者の行動変容例

参考事例:従業員数600名弱の企業に「みらいナビ」を導入
ロボアド機能追加で加入者の「何を選ぶべき?」の疑問に答える
林 |
実際に、みらいナビを使ってみて、アプリならではの手軽さや、適切なタイミングで適切な情報が届くことで、利用者目線での効果が現れていると感じました。
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板山 |
そうですね。ただ、まだまだ課題も残っています。加入者に毎月発信しているメッセージは、例えばリスク性商品に何割くらいシフトできますよといった内容ですが、個別の運用商品まで言及できていません。加入者が本当に知りたい「何を選ぶべきか」という最終的な問いに答えるためには、中立的なロボアドによる具体的な商品提案機能の導入が必要だと考えていました。そこで注目したのが、DWSグループのWISE(ワイズ)です。
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林 |
ロボアドを提供する事業者は当社以外にも複数ありますが、DWSのロボアド、WISEに関心を持たれた理由は何ですか。
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板山 |
DWSという世界的な金融グループが開発したツールであり、また、投資のプロによる精度の高いモデルであるということです。単なるアルゴリズムではなく、実際に投資家の資金を運用するポートフォリオマネージャーが市場動向を睨みつつ配分しているため、簡易的なモデルとは異なる結果を生むものと考えます。退職後に向けた資産運用の目的との親和性が高いと感じました。
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林 |
そうですね、WISEはDWSの本拠地、ドイツで開発されましたが、その後、パートナー企業との協働などにより、現在では欧州やアジア、中東など様々な地域でサービスが展開されています。この度の、未来貯金様との共同プロジェクトでは、投資行動に繋げるためにシンプルさを追求し、加入者への質問を2つに絞りました。信託報酬が低いものを優先し、原則パッシブ型投資信託から推奨商品を選ぶなど、中立性を保つという「みらいナビ」のこだわりが随所に反映されています【図表3】。
ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
機関投資家営業部
林 茉里奈
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板山 |
加入者にとっての最大の壁は「はじめの一歩」です。本機能がその一方を踏み出す後押しとなるでしょう。今後、「みらいナビ」の中で保有商品の預け替え機能や、運用割合の変更を完結させる機能を追加するなど、加入者目線でより使いやすい機能の開発を検討しています。自助努力の資産形成において、DCは大事な投資のはじめの一歩と言えます。加入者一人一人に寄り添った視点でさまざまなサービスの提供に今後も努めていきたいと思います。
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【図表3】 WISEを用いた「みらいナビ」の運用シミュレーション画面イメージ

※上記はイメージです。