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2018年8月27日

「マーケットを読み解くキーワード
不透明さを増す欧州市場におけるコーポレート・ハイブリッド証券の優位性」

Ma・Do Vol.51 2018年8月号掲載
【執筆】ドイチェ・アセット・マネジメント 運用部 ポートフォリオ・マネジャー 吉田一貴

  欧州中央銀行(ECB)は6月の理事会にて、月額300億ユーロの資産買い入れを9月まで継続し、10 ~12月は月額150億ユーロへ減額、そして年内の買入終了を発表した。一方で、主要政策金利は少なくとも2019年夏まで現行水準にとどめるとの方針も示され、具体的な時間軸を含める形で金利政策におけるガイダンスを強化する姿勢を示している。
  目先、ユーロ圏においては低金利環境の継続が見込まれる中、主要地域の貿易関係における通商政策や、中国・新興国景気、資源価格動向等、懸念材料や不透明要因として市場の変動性を高め得る要素が複数残存しているのが現状である。特に米中の貿易摩擦問題、米国による欧州や他地域に対する関税実施は、すでにドイツ等ユーロ圏中心国の景況感悪化に影響を及ぼし始めているのが実態である点にも注視が必要だ。
  そうした市場環境を踏まえると、債券投資という観点からは、相対的に利回りが高く、かつ格付等の信用リスクも低めのアセットクラスに資金が流入しやすいものと考えられる。また、国内投資家の為替ヘッジ効果等も踏まえると、米ドルよりも金利水準が相対的に低い欧州通貨建て、ユーロ建て等の債券はより魅力的な資産として注目を集めることが想定される。そうした中で、選択肢の1つとして考えられるのが、ハイブリッド証券、とりわけコーポレート・ハイブリッド証券が投資の有用な手段として国内投資家の一助になり得るのではないだろうか。

  コーポレート・ハイブリッド証券は2000年代に入り発行され始め、現在の発行残高の大半が欧州企業によるもので通貨もユーロが大半を占めている。企業がコーポレート・ハイブリッド証券を発行する理由には、ハイブリッド証券を発行することで発行額面の一部を資本算入できることや、資本コストを抑制しつつ、企業価値の向上と信用力の維持の両立を図ることができる点等が挙げられる。また、欧州では利払いを損金算入できるという税制上のメリット等がある点も市場拡大の背景にある。M&A資金の調達や年金債務にかかる資金調達、あるいは国営企業の資本増強等、発行目的は多岐にわたっている。

  コーポレート・ハイブリッド証券の魅力として1つ目に挙げられるのが、証券格付では約8割、発行体格付では約9割以上が投資適格となっている点だ。
  コーポレート・ハイブリッド証券は、発行体である優良企業が資本増強を目的として発行する傾向があり、弁済順位が劣後する等特有のリスクがあるため、投資適格格付の優良企業が発行する証券であることで、一定の安心感として投資需要の拡大に寄与している。
  2つ目としては、コーポレート・ハイブリッド証券は安定性の高い公益セクター企業が主な発行体となっており、相対的に市場の変動性の影響を受けにくいと考えられる点である。事業の特性から安定的なキャッシュフローを有する公益企業の割合がコーポレート・ハイブリッド証券において高いという点は、他資産との差別化要因になろう。
  最後に、利回りが相対的に高いという特性である。弁済順位が普通社債に比べて劣後する点や、繰上げ償還延期等の固有リスクがあること等が背景にあるが、バリュエーション上の魅力度が高く、より高い投資効率を享受しやすい資産であるとも考えられる。多くがユーロ建てで発行されている点も、中長期的な為替ヘッジコストの低減を受けて、国内投資家のトータルリターンに寄与し得る要因と言えよう。



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