メディア寄稿|ニッキン投信情報

2020年2月17日

「スッキリ解説!ETF 第5回 これであなたもプロ!?ETFの選び方」

ニッキン投信情報 2020年2月3日号掲載

<執筆者紹介>
ドイチェ・アセット・マネジメント
機関投資家営業部 岸本 拓之(きしもと・ひろゆき)

三菱UFJ信託銀行にて日本初の日本版預託証券による海外ETFの東証上場プロジェクトに関与。
2018年より現職。DWSのETFブランド「Xトラッカーズ」を含むパッシブ商品のプロモーションを推進。
慶應義塾大学法学部卒。

ドイチェ・アセット・マネジメント 機関投資家営業部 ETFスペシャリスト 岸本 拓之

お客さまからよく頂く質問に「ある指数に連動するETFが複数ある時、どうやって選んだらよいのか」というものがあります。昨今では複数のETFプロバイダーがETFを提供しており、例えば欧州株の代表的な指数に連動するETFは10本以上にも上ります。預かり残高(AUM)が最も大きいものを選べばよいのでしょうか? それとも、信託報酬が最も低い商品が常に最良の選択肢なのでしょうか?

結論から言うと、「これさえ見ていればよい」という唯一の絶対的な基準はありません。ただ、最低限押さえておきたいポイントはあります。それは、「トラッキングディファレンス」、「トラッキングエラー」、「流動性」の3つです。

まず1つ目の「トラッキングディファレンス」ですが、あるETFのリターンと、そのETFが連動を目指す指数のリターンとの差を指します。多くのETFを含むパッシブ運用は指数への連動を目標としており、究極的には指数と完全一致するのが理想です。ただし実際は運用にかかるコストや配当金源泉税などが発生するため、指数とETFに乖離が生じます。この乖離をいかに小さくするかがETFプロバイダーの腕の見せ所になります。具体的には、例えばETFの裏付けとなる原資産を貸し出して(セキュリティーズ・レンディング)得られた収益を投資家に還元することでトラッキングディファレンスの縮小を図るファンドもあります。また同じ指数に連動するETFであってもファンド国籍は様々であり、その国籍によっては原資産の配当金にかかる源泉税に関して指数の計算上の税率とファンドが支払うべき税率が異なるケースがあるため、結果としてトラッキングディファレンス縮小につながることもあります。「とにかく信託報酬率が低いファンドが良い」という声も聞かれますが、実はそれがすべてではありません。パフォーマンスに直結するトラッキングディファレンスに着目せずに、その一要素にすぎない信託報酬率だけで比較することは「木を見て森を見ず」になってしまいます。

2つ目の「トラッキングエラー」は前述の「トラッキングディファレンス」の一定期間におけるブレの大小を比較するための指標です。統計学用語でいう「標準偏差」を求めることでデータのばらつきを見るのです。これがなぜ大事かというと、いくら前述のトラッキングディファレンスがある時点で小さくても、それが常に小さいとは限らないからです。また乖離幅のブレが大きければ、乖離幅そのものも長期的には大きくなりやすいでしょう。このように、トラッキングエラーが大きいことは将来時点における指数との連動の度合いについて予見性が低くなることを意味します。これは指数への連動を目指すパッシブ運用としては見過ごせない点です。トラッキングエラーを生み出す要因としてはETFのリバランスタイミングや資金の流出入への対応、構成銘柄の売買コスト等が挙げられます。

3つ目の「流動性」は、ETFの売買のしやすさに直結する重要な項目です。あまりに流動性が低いETFを保有すると、希望する数量で売却できない場合も出てきます。この点、ETFの流動性というと、取引所における売買代金をイメージする方が多いかもしれません。しかし第4回のコラム(20年1月6日号掲載)でも触れた通り、特に欧州ETFでは取引所の外での相対取引が7~8割を占めており、必ずしも目に見える流動性がすべてではありません。特に機関投資家の場合だと、マーケットメイカーといわれる専業の取引参加者にコンタクトすることで、見えない流動性にアクセスすることが可能となり、結果としてコストを抑えながらまとまった数量での売買を実現しています

いかがでしょうか。今後ETFを選ばれる際には、上記のような「実はプロが見ているポイント」にも着目していただければと思います。


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