メディア寄稿|ニッキン投信情報

2019年12月16日

「スッキリ解説!ETF 第3回 ETFの資金フローが語る投資家の最新動向」

ニッキン投信情報 2019年12月2日号掲載

<執筆者紹介>
ドイチェ・アセット・マネジメント
機関投資家営業部 岸本 拓之(きしもと・ひろゆき)

三菱UFJ信託銀行にて日本初の日本版預託証券による海外ETFの東証上場プロジェクトに関与。
2018年より現職。DWSのETFブランド「Xトラッカーズ」を含むパッシブ商品のプロモーションを推進。
慶應義塾大学法学部卒。

ドイチェ・アセット・マネジメント 機関投資家営業部 ETFスペシャリスト 岸本 拓之

第2回のコラム(11月4日号掲載)ではETFの特徴やメリットに触れましたが、今回は、投資家が今どのようなETFに注目しているのか、資金流出入のデータを基にご紹介します。

モーニングスター社のデータ(2019年10月30日時点)を基に弊社グループで年初来のファンド流出入額を取りまとめたところ(図表参照)、欧州・米国に籍を有するETFのうち株式ETFは残高3.4兆ドルに対し754億ドル(残高比2.2%)、債券ETFは残高8,700億ドルに対して1,559億ドル(同17.9%)、コモディティETFは残高1,222 億ドルに対して154 億ドル(同12.6%)の流入となっています。金利環境や株式相場の状況により、年初来の流入額では債券ETFが株式ETFを上回る結果となりました。またコモディティETFは残高こそ小さいものの、足元では安全資産としての注目度が高まり、勢いよく資金が流入しています。

アセットクラスごとに詳細を見ましょう。株式ETFの流入額は米国株が418億ドルと5割以上を占めます。内訳は、米国セクター株ETFから142億ドルの資金が流出する一方、米国株ファクターETFへの流入が371億ドルと目立ちます。ファクターETFはグロースやバリュー等のファクターにフォーカスした指数に連動するETFで、「スマートベータETF」とも呼ばれます。中でも今年に入ってからは最小分散(ポートフォリオのボラティリティを抑える戦略)やイールド(配当重視の戦略)など相場が不透明な状況で選好されやすいファクターへの資金流入が増えています。欧州株については足元奮わず、年初来で159億ドルの流出(▲7.1%)ですが、一部の欧州セクター株ETFやファクターETFのフローからは反転の兆しとも取れる動きがみられます。また、アジア株については185億ドルの流入(+3.9%)という状況です。

続いて債券ETFです。全体の流入額の7割程度を占める米ドル建て債券では、国債・政府債(342億ドル)を筆頭に投資適格社債、ハイイールド債のETFに加え、アグリゲート債券ETF(主として投資適格以上の国債・モーゲージ債、社債等を投資対象とするETF)などの分野も含めバランス良く資金流入しています。ユーロ建て債券も全ての分野で年初来のフローはプラスで、中でも社債ETFへの流入が121億ドルと6割強を占めています。この点、特にわが国の投資家からは、日米金利差に起因する米ドルのヘッジコストの高止まりと欧州社債のデフォルト率の低さが相まって、米ドル建て社債に対するユーロ建て社債の相対的な魅力が高まっているということも欧州社債ETF市場を後押ししている一因かもしれません。

またコモディティETFについては、原油等のエネルギーETFについては年初来で流出が見られるものの、金や銀といった貴金属のETFにおいてはそれぞれ残高比で2割近い資金が流入しています。特に安全資産とされる金は、一般に地政学的リスクが高まると資金が流入しやすくなる傾向があります。

本コラム執筆時点(11月18日現在)では、世界の景気見通し改善に伴い投資家は強気姿勢を強めているものの、総じて見ると、年初来では投資家のリスクオフ姿勢が比較的強く出ている、ということがETFの資金フローデータからは言えそうです。ETFは取引所に上場しており、売買コストも比較的低いことから、機動性に優れた投資商品と考えられます。そのため、ETFの資金フローのトレンドを注意深く見てみると、投資家がいま相場をどのように捉えているのかを感じ取る手がかりになるかもしれません。

欧米籍ETFの残高と年初来の資金流入額の比較
モーニングスター社のデータを基にドイチェ・アセット・マネジメント(株)が作成(2019年10月30日時点)


Copyright © ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第359号
加入協会 日本証券業協会・一般社団法人投資信託協会・一般社団法人日本投資顧問業協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
【当社を装った詐欺的行為にご注意ください。】