メディア寄稿|ニッキン投信情報

2019年8月19日

「インフラ投資の最前線 Vol.5 トランプ大統領の後押しも!? 規制公益インフラ」

ニッキン投信情報 2019年8月5日号掲載

第5回のテーマは規制公益インフラです。規制公益インフラには、送電・配電、ガス、水道ビジネスなどが含まれます。こういった公益インフラ施設は政府や地方自治体によって保有・運営されることが多いですが、一部については民営化され民間企業によって運営されています。民営化されている場合でも、公共性の高いビジネスであることから規制が敷かれており、価格の決定や設備投資を通じた事業の拡大等に対して政府機関との合意が必要になることが一般的です。規制公益インフラ企業にとっては、政府・自治体の財政難などを背景に、運営されているインフラ施設の民営化が進展することで参入・成長機会が生まれます。その中でも、今回は米国で特に大きな社会問題になっている公益インフラの老朽化とそれに伴う民間企業の成長機会についてご紹介したいと思います。

米国でのインフラ投資に関しては、ドナルド・トランプ大統領が前回の大統領選挙中に、今後10年で1兆米ドルのインフラ投資を行うことを公約に掲げてから注目されるようになりました。2018年の一般教書演説ではその投資額を1兆5,000億米ドルに増やし、19年5月には「トランプ大統領と民主党が総額2兆米ドルに上るインフラ投資法案作成に向けて協議を始めることで合意」とも報じられており、政治の後押しが期待される分野となっています。この政策が掲げられた背景としては、米国のインフラ、特に公益・輸送インフラの老朽化が深刻化していることがあります。17年に発表された米国土木学会によるレポートで、米国のインフラ整備状況の総合評価は「A」から「D」の評価の中で「D+」と下から2番目の低評価、特に上水道は「D」と最低評価、下水道や送電・ガスといったエネルギーは「D+」と評価されており、米国で大きな社会問題となっています。また、インフラの更新に今後10年間で約4.6兆米ドルもの投資が必要になると試算しています。

実際に、米国では水道管が年間約24万回破裂し、2兆ガロン以上の飲料水が失われています。これは、米国全体の15%前後の水を無駄にしていることになり、1,500万世帯の水道使用量に匹敵します。ガス管も平均使用年数は60年を超えており、全米各地でガス管の事故が多発しています。送電網の老朽化による事故としては、一昨年、昨年とカリフォルニアで大規模な山火事が発生していますが、老朽化した送電施設からの漏電が一因とも言われています。

規制公益インフラ企業にとっては、この老朽化したインフラ施設の更新投資という大きな成長機会があります。更新投資をすることによって、その投資額に見合う収益を追加で確保することが可能になります。現状のペースだと、全ての公益インフラを新しくするのに100年以上かかるとも言われており、政府の支援の下、更新投資のスピードや投資額がこれまで以上に拡大する可能性が期待されます。インフラ投資は米国の与野党が歩み寄れる政策分野の一つと言われています。20年の大統領選に向けて大きな動きがある可能性もあり、今後の動向が注目されます。

グローバルでのインフラ投資必要額
出所:IHS Global Insight、ITF、GWI National Statistics、McKinsey Global Institute Analysis のデータを基にドイチェ・アセット・マネジメント(株)が作成

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