メディア寄稿|ニッキン投信情報

2019年7月16日

「インフラ投資の最前線 Vol.4 輸送インフラの新潮流 コンセッションって何?」

ニッキン投信情報 2019年7月1日号掲載

第4回は輸送インフラについてお伝えします。輸送インフラとは、有料道路や空港、港湾施設を指し、その収益源は主に保有インフラの通行料や使用料です。こういったインフラ施設は公的機関によって保有・運営されるのが一般的ですが、一部は民営化され民間企業によって運営されています。グローバルで見ても民営化の進展は地域差があり、特に欧州では輸送インフラの民営化事例が数多くある一方で、米国では非常に少なく、今後の拡大が期待されています。また民営化の形態にも、単純な業務の民間委託から、PFI(Private Finance Initiative、民間資金活用による公共事業)やPPP(Public Private Partnership、官民共同での公共事業)といった民間の資金・ノウハウを利用するものまで、様々なものがあります。この中で、最近注目を集めているのがコンセッション方式による民営化です。

コンセッション方式とは、国や自治体が空港・有料道路等の公共施設を所有したまま、運営する権利(運営権)を民間事業者に売却する仕組みをいいます。これは、PFIやPPPの一種ではありますが、事業の経営主体が別になる点が他の民営化手法と最も大きく異なるところです。コンセッション方式では、民間事業者が経営主体となるのに対し、それ以外の方式では公的機関が経営主体となります。経営主体となることは、当該事業に対する最終的な経営責任を持ち、重要な方針・計画や施策の決定権を持つことになるため、コンセッション方式においては、当該事業における民間事業者の責任と経営の自由度が大きく増すことになります。公的部門の債務が膨らむ中、インフラの維持・管理・更新に充てる財源が不足しているという問題と、公的機関による非効率なインフラ施設の運営という両方の問題を、民間の資金と民間企業の先進的な経営手法・ノウハウにより同時に解決できる手法として、コンセッション方式での民営化が広がりつつあります。

日本において最近注目されたコンセッション方式での民営化は、関西国際空港、伊丹空港、神戸空港の運営権をオリックスとフランスのコンセッション大手ヴァンシが共同で取得した案件です。日本政府は1990年代から積み上が った債務の削減を図るため、当該空港の運営権を譲渡することを決定しました。海外の事業体が日本の空港の運営権を取得した初めての事例となり、関西国際・伊丹空港は2016年から、神戸空港は2018年から運営を開始しています。ヴ ァンシは、12カ国で45の空港を運営する世界2位の空港オペレーターであり、豊富な資金力と空港経営の専門知識により、公的機関による運営では成し得なかった魅力的かつ利便性の高い空港運営に取り組んでいます。関西3空港(関西・伊丹・神戸)の利用者数も2018年には4,800万人と順調に増加しています。

この例のように、有料道路・空港といった輸送インフラや、次回ご紹介する公益インフラの領域で、コンセッション方式による民営化が進展しつつあります。コンセッションを主力とする民間企業にとっては、管理・運営するインフラ施設の増加による成長と、運営権取得後の効率化や利用者数拡大といった成長の両方が期待できます。民間企業による新しい手法が、経済活動に必要不可欠なインフラと、我々の生活を支えています。


出所:VINCI Capital Markets day, November 2017. BCG 2017, ACI Policy Brief 2017 の資料を基に
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