メディア寄稿|ニッキン投信情報

2019年5月20日

「インフラ投資の最前線 Vol.2 シェール革命第2章、LNGが世界を変える」

ニッキン投信情報 2019年5月6日号掲載

第2回はエネルギーインフラについてお伝えします。エネルギーインフラの代表例は、原油や天然ガス、またそれを精製した石油化学製品等を輸送するパイプラインです。インフラ関連株式としては、主に北米で上場している、いわゆる「シェール革命」以来開発が進んだ米国・カナダのシェールオイル・ガスを輸送するパイプラインを有する企業が挙げられます。業績は一般的には原油価格といったコモディティ価格ではなく、パイプラインを通過する原油・天然ガスの量に連動します。多くの場合、精製された原油はガソリンとして消費され、天然ガスは発電用燃料として消費されます。これらのエネルギー需要量は景気変動の影響を受けづらく、収益がパイプラインで輸送する量に連動するエネルギーインフラ企業の業績も安定しているという特徴があります。

さて、このエネルギーインフラセクターに今大きなトレンドの変化が起こりつつあります。シェール革命によって生産された米国シェールガス由来の液化天然ガス(LNG)の輸出が2018年頃から本格的に始まりました。LNGとは、天然ガスをマイナス162度まで冷却し液化したものです。液化することにより体積が天然ガス対比で600分の1になり、基本的にパイプラインでしか輸送できなかった天然ガスをタンカーで国外まで輸送することが可能となります。これまで米国産天然ガスは、主に米国国内で消費されていました。これは、天然ガスを輸出するインフラが整っておらず輸出することができなかったことに起因します。ところが、18年頃から天然ガスの液化施設が本格的に稼働し始め、これまで米国内にとどまっていたシェールガス由来の天然ガスが世界に輸出され始めたのです。17年時点で、米国の天然ガス生産量は世界の20%を占め世界最大の生産国となっていますが、輸出量は5%にとどまっています。今後の液化施設の稼働により、23年には米国が世界最大のLNG輸出国になると見込まれています。北米のエネルギーインフラの稼働率が高まることが予想され、関連企業にも大きな恩恵があると期待されています。

天然ガス・LNGの需要が世界で大きく拡大しつつあることも更なる追い風となっています。グローバルで二酸化炭素排出量削減に向けた動きが加速、クリーンエネルギーを推奨する政策が打ち出されており、その中で天然ガスは化石燃料の中で環境負荷の小さいエネルギー源として注目されています。二酸化炭素排出量は、石炭を100とすると天然ガスは60と小さく、安定供給と環境対策の両方を同時に達成できるエネルギー源と考えられています。特に、石炭発電の比率が高く、大気汚染が深刻な中国を中心に、石炭から天然ガスへの転換が起こっています。その結果、中国のLNG輸入量は10年から17年に約5倍に拡大しています。

また、米国は米国産LNGの輸入拡大を交渉材料に、他国との貿易赤字解消を推し進めようとしています。18年7月には欧州が米国産LNGの輸入拡大について合意しており、中国についても貿易摩擦解消に向けて米国産LNGの輸入増を提案していると報道されています。

米国の輸出開始による供給増、環境対策に伴う需要増、そして政治的な後押しと、LNGが世界を大きく変えつつあります。まさに今、シ ェール革命第2章とも呼ぶべき大きな転換点に差し掛かっているエネルギーインフラ、今後の成長に世界の注目が集まっています。

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