そろそろ知らなきゃ?ESG

2019年1月21日

「そろそろ知らなきゃ?ESG 第4回 ESG投資の国別トレンド②~欧州編」

ニッキン投信情報 2019年1月7日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 投資戦略部長 藤野 哲

  欧州はESG投資をけん引する地域であり、国連責任投資原則(UN PRI)への署名機関数、ESG投資残高ともに世界一です。欧州のESG投資残高は2016年末時点で12兆米ドル(約1,400兆円)に上り、域内の総投資残高の実に半分以上を占めるまで拡大しました。当社を含む多くの欧州の運用会社・アセットオーナーは早い段階からESG投資へのコミットメントを表明しています。今回は、欧州がESG投資に対して積極的な姿勢を貫く背景とともに、欧州におけるESG投資の最新動向を取り上げます。

■背景■

 欧州でESG投資が普及した背景には、まず歴史的な経緯が挙げられます。キリスト教が広く信仰されているヨーロッパでは、教会の資金をSRI(社会的責任投資)により運用するなかで、ESG要素を含む非財務情報を投資判断に組み入れてきました。

 もう一つの背景は、近年の欧州諸国によるESG投資の後押しです。政府主導でESG投資に関する法整備を急速に進めたほか、欧州委員会によるESGやサステナブル投資に関連するEU指令などの策定の結果、欧州全体としてESG投資のフレームワークが整いつつあります。

 例えば、欧州議会・理事会指令2014/95/EUでは、従業員500名以上の企業に対して、環境保全、ダイバーシティー、人権保護、汚職防止などの非財務情報の開示を義務付けました。これにより、各企業のESGに対する取り組みが可視化され、ESG要素を投資判断に反映することが容易になりました。18年には、サステナブルファイナンスの促進に向けたフレームワークの確立に向けた動きが活発化しており、グリーンウォッシュ(環境保護やサステナブル要因を配慮しているように装ってマーケティングすること)を防止するための共通タクソノミー(分類システム)などがその例として挙げられます。

■北欧■

 北欧は欧州でもESG投資が特に進んだ地域であり、その中でも先駆者的存在なのがノルウ ェー政府年金基金のGPFGです。GPFGは1兆米ドル(約118兆円)の運用資産を誇る世界最大級の政府系年金基金であり、ESG投資が注目される以前から、環境負荷の高い銘柄の除外等を行ってきました。12年にパーム油関連株式を売却したほか、15年には石炭関連株式の売却を開始するなど、環境やガバナンスの観点からの「ダイベストメント」(投資撤退)は200社を超えました。また、議決権行使やエンゲージメント(企業との対話)にも力を入れており、すべての結果をウェブサイトで公表しています。今後さらにESG投資への取り組みを強化すると見込まれており、その動向は世界中の投資家に注目されています。

■フランス■

 フランスも近年ESG投資へと大きく舵を切 った国の一つです。関連法の改正により、12年から運用会社等が投資哲学や投資判断にESG要素を取り入れているかどうかを年次運用報告書に明記することが義務付けられました。また、 15年には低炭素社会への移行を推進するための「エネルギー移行法」が制定され、機関投資家にESGおよび低炭素投資に関する情報開示を義務付けました。これにより、投資プロセスへのESG統合、投資先の温室効果ガス排出量、低炭素経済の投融資などの詳細な情報開示が求められるようになるなど、政府主導でESG投資を推進しています。

 次回はESG投資の課題を見ていきます。

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執筆者のご紹介

    藤野哲(ふじの・さとし)
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    投資戦略部長

    機関投資家等に対する投資戦略の提案や開発を担当。
    CFA協会認定証券アナリスト。米国公認会計士。神戸大学経済学部卒業。

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