そろそろ知らなきゃ?ESG

2018年12月17日

「そろそろ知らなきゃ?ESG 第3回 ESG投資の国別トレンド①~日米編」

ニッキン投信情報 2018年12月3日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 投資戦略部 インベストメント・スペシャリスト 大川 亜梨沙

  今回と次回ではESG投資の動向を国・地域別に見ていきます。今回は日本と米国に注目し、次回はESG投資が最も進んでいる欧州をクロ ーズアップします。

■日本■

 金融庁は2014年2月に「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード ≫を策定しました。また、世界最大の公的年金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も15年にUN PRIに署名してESG投資に積極的に取り組み始めたことから、日本においてもESG投資が脚光を浴びるようになりました。職場における女性の活躍を推進する日本企業の株価に連動する指数など、ESG評価の優れた日本企業に焦点を当てた指数やファンドの設定も相次いでおり、投資家の間でもESG投資に対する認識と理解が高まっています。これらの動きは政策面にも影響を及ぼし始めています。小池都知事が発表した「国際金融都市構想」では、金融を社会的課題の解決に役立てることが柱の一つとして掲げられ、その中の具体的な取り組み例として「ESG投資の推進」が挙げられています。

 日本におけるESG投資残高も増加の一途をたどっており、14年末から16年末にかけての伸び率は65倍超と非常に高くなっています。しかし、日本の投資家のESGへのコミットメントは世界全体に対する割合では相対的に小さく、PRI署名機関数は3%程度、ESG投資残高は2.1%にとどまっており、拡大の余地は十分に残っています。

 また、世界的には「ネガティブ・スクリーニング(銘柄・業種等の除外)」がESG投資の主流となっていますが、日本では「エンゲージメント(投資先企業との対話)」がESG投資残高の約60%を占めており、日本独自の傾向が見受けられます。

■米国■

 米国は欧州に続いてESG投資額が大きい国・地域です。米国で1位、2位の規模を誇る公的年金のCalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金)やCalSTRS(カリフォルニア州教職員退職年金基金)などが率先してESG投資にコミットしており、それに続き他の機関投資家もESG投資への取り組みを強化しています。

 米国におけるESG投資では、銃規制が非常に関心の高い分野となっています。全米各地の学校や公共施設での度重なる悲惨な銃乱射事件を受けて、投資家も銃規制に向けたアクションを取り始めており、銃器製造・販売関連企業への投資の削減や、積極的なエンゲージメントを実施しています。銃器関連企業を除外する運用戦略の残高は16年末時点で8,450億米ドルに達し、12年から10倍以上も増加しました。

 米国でESG投資の拡大につながったのが、ERISA法(従業員退職所得保障法)におけるESG投資に対する見解の変化です。ERISA法を管轄する米国労働省は以前、受託者責任(フィデューシャリー・デューティー)に反する恐れがあるとしてESG投資にはやや否定的でした。しかし、15年にESG投資に対する新たな見解を示し、ESG要因を取り入れた投資は従来の投資手法と同等のリスク・リターンであれば受託者責任に反さず、またESG投資は一般的な投資手法に比べて良いパフォーマンスが期待できる可能性があることも併せて示唆しました。この判断により、米国の年金基金によるESG投資の取り組みが後押しされ、幅広い普及につながりました。

 次回はESG投資の最先端を行く欧州の動向を見ていきます。

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執筆者のご紹介

    大川 亜梨沙(おおかわ・ありさ)
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    投資戦略部

    インベストメント・スペシャリストとして、日本の投資家に最新の投資戦略や運用ソリューションを提案。
    早稲田大学国際教養学部卒業。

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