そろそろ知らなきゃ?ESG

2018年11月19日

「そろそろ知らなきゃ?ESG 第2回 投資のトレンドを資産クラス別にみてみよう」

ニッキン投信情報 2018年11月5日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 投資戦略部 インベストメント・スペシャリスト 大川 亜梨沙

  「ESG投資」という言葉を聞いたとき、多くの方は株式投資のイメージを持たれるのではと思います。かつて世界で社会的責任投資(SRI)をテーマにした株式ファンドが注目を集めたことが背景の一つにあるかもしれません。実際に他の資産クラスと比べてみると、ESG投資に分類される運用資産額だけでなく、分析レポートなどの入手可能な情報量でも、株式に関するものが圧倒的に多い状況です。しかし、債券や不動産の投資においてもESG要素の活用は可能であり、今後の投資拡大が期待されています。ここからは、各資産クラス別のESG投資のトレンドをみていきましょう。

■株式■

 特定のESG基準を満たしていない業界・企業を除外するなど、投資対象を選別するためのスクリーニング手法だけでなく、エンゲージメント(投資先企業との対話)を通じてESGへの取り組みを促す手法も拡大しています。取締役会の構成などG(ガバナンス=企業統治)に関する課題だけでなく、環境問題への対策等にも直接的に働きかけるものです。

 また、ESG投資の対象は先進国の大型株が中心でしたが、徐々に新興国市場にも注目が集まっています。一般的に、新興国企業は投資家に向けた情報開示が先進国企業に比べて限定的であり、市場の変化も激しいことから、ESG投資の効果は評価が難しいと考えられてきました。しかし、新興国株式投資におけるESGフィルターの利用は、パフォーマンスを改善させる効果があるとの研究結果も報告されています。非効率な市場であるからこそ、環境問題への取り組みや労働環境の管理等、ESGに関する非財務情報が企業の健全性や立ち位置を明確にし、パフォーマンスの安定とリスク軽減につながると推測されます。

■債券■

 債券は市場規模が株式よりも大きく、ESG投資をけん引する機関投資家にとってもポートフォリオに欠かせない資産クラスです。債券におけるESG投資は近年急速に発達し、投資家のニーズに合うESG債券商品も大幅に増えました。2018年4月には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と世界銀行が「債券投資における環境・社会・ガバナンス(ESG)の考慮」と題した共同研究の報告書を発表するなど、ESGソブリン債・社債への注目が一層高まっています。

 その中でも「ソーシャルボンド」、「グリーンボンド」、「SDGsボンド」等、社会問題の解決や持続可能な開発目標の達成など特定のテーマに沿った債券ファンドが人気を博しています。例えば、国連貿易開発会議(UNCTAD)によれば、SDGsの達成には2030年までに世界で年間5兆~7兆米ドルの投資が必要とされており、SDGsボンドの普及が期待されています。

■不動産■

 不動産においても投資家やディベロッパー等がESGへの取り組みを加速しています。不動産投資家によるESGの情報開示の要求が高まるなか、GRESBやCASBEEといった不動産会社やファンドのESG配慮を測る評価システムが積極的に活用されています。

 また、省エネ性能に優れた建物、通称「グリーン・ビルディング」の建設も拡大しています。今までは建設コストや保有負担の増加を懸念して敬遠されていましたが、最近の研究により「グリーン・ビルディング・プレミアム」、すなわち収益および売却価格の両面での付加価値の存在が示されました。


 次回は国別のESG投資トレンドについてご紹介します。

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執筆者のご紹介

    大川 亜梨沙(おおかわ・ありさ)
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    投資戦略部

    インベストメント・スペシャリストとして、日本の投資家に最新の投資戦略や運用ソリューションを提案。
    早稲田大学国際教養学部卒業。

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