DWS欧州通信

2018年9月18日

「DWS欧州通信 最終回 欧州の魅力的な投資対象を探る」

ニッキン投信情報 2018年9月3日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 運用部 ポートフォリオ・マネジャー 吉田一貴

ユーロ圏は景気拡大を維持、通商政策動向は引続き注視が必要

 4~6月期のユーロ圏域内総生産(GDP)成長率は、前期比+0.4%と21四半期連続でプラス成長を維持しています。購買担当者景気指数(PMI)も、心配された悪化基調に歯止めを掛けるかたちとなっており、水準自体は力強さを維持していることから、域内の景況感に特段の問題は無いと見受けられます。堅調な世界景気を背景に、輸出が回復基調を維持しており、固定投資や個人消費も拡大を示す結果となっています。また、懸念されていた通商政策動向に関して、米国・欧州連合(EU)間における鉄鋼・アルミ関税問題の解決に向けた動きや、工業品(除く自動車)に係る関税・非関税障壁・補助金の撤廃、一部農作物や液化天然ガス等における貿易拡大に向けた協議に関する合意がなされ、協議中における新たな関税措置の発動はしない旨の方針等も示されたことなどは、米国・EU間の貿易摩擦懸念を後退させ、市場の安定材料になるものと考えられます。

欧州中央銀行(ECB)の緩和策を受けて低金利環境は継続する見込み

 ECBはこれまで、金融正常化に向けて地ならし的な発表を行いつつも、量的金融緩和策(QE)の実施期間延長や規模拡大に含みを持たせ、市場見通し等も適宜修正し、フォワードガイダンスを通じて通貨高や極端な金利変動を極力抑え込む姿勢を示してきました。日本銀行が7月の政策決定会合で発表した内容は、市場の過度な利上げ期待を抑え込もうという点で、ECBが実施してきた金融政策運営と共通した姿勢をうかがうことが出来ます。主要先進国において、米国や英国等は金利正常化に向けて既に舵を切っている一方、その他の主要国においては依然として経済環境(特に各国の物価水準)を慎重に判断し、政策運営を実施している段階と言えます。ECBは主要政策金利を少なくとも19年夏まで現行水準にとどめるとの方針を示しており、低金利環境の継続は欧州市場における資金循環に引続き大きな影響を与えるものと考えられます。

欧州クレジット資産は引続き魅力的な投資対象

 堅調な世界景気や好調な企業決算を背景に、株式市場は上昇基調を示していますが、上述の通りユーロ圏等における低金利環境の継続を受けて、利回り狙いの資金需要は引続き継続するものと考えられます。相対的な利回りの高さを求めた資金動向や、割安な局面における債券投資に対する需要は根強く、そうした投資家動向に極端な変化が生じることは現時点では想定しづらいものと思われます。

 年初以降、米国の過度な金利上昇が嫌気され、新興国資産からの資金流出等が顕著となったリスク回避的な局面や、貿易関連の通商政策動向における不透明感、ユーロ圏の政治リスクの高まり等を背景に、欧州のクレジット資産(欧州ハイ・イールド債券、コーポレート・ハイブリッド証券等)は軟調推移が目立ちました。しかし、直近はリスク選好が幾分回復し、割安な市場への資金回帰を受けて反発の兆しを見せています。割安な局面からの市場の反発は、長期的な市場の値動きとも一致する点であり、今後も欧州クレジット市場の成長拡大が期待出来るものと考えています。

欧州ハイ・イールド債券、コーポレート・ハイブリッド証券(投資適格級)のリターン推移

※当コラムは2018年8月14日時点の情報に基づき執筆しております。
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執筆者のご紹介

    吉田一貴
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    運用部 ポートフォリオ・マネジャー

    国内運用会社を経て2014 年入社。クライアント・ポートフォリオ・マネジャーとして債券プロダクトの運用に従事。一橋大学商学部卒業。

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