DWS欧州通信

2018年6月18日

「DWS欧州通信 第3回 ユーロ圏の景気はよくなっているの?」

ニッキン投信情報 2018年6月4日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 運用部 ポートフォリオ・マネジャー 吉田一貴

ユーロ圏景気の拡大基調は継続

 ユーロ圏域内総生産(GDP)成長率は、2016年第4四半期から17年第4四半期までは年率2%を超える高い成長度合いを記録し、17年の年間成長率は過去10年で最も高い伸びとなりました。堅調な個人消費に加え、投資・輸出の改善も相まって、ユーロ圏では現在20四半期連続のプラス成長を達成しており、18年も良好な外部環境と緩和的な金融政策の下支えにより、相応の景気拡大維持が見込まれます。

 直近の18年第1四半期のGDP(速報値)は前期比0.4%、前年比2.5%と、引続き成長が確認出来ています。主要国では、スペインが前期比0.7%拡大し成長をけん引したほか、ドイツも同0.3%程度の成長を維持しました。その他、構造改革の進展が今後期待される、フランス・イタリア等も成長を保っています。雇用・所得環境の改善、失業率の低下が着実に進んでいる点も、今後のユーロ圏景気の回復基調を下支えるものと思われます。設備稼働率も緩やかな回復基調を示していますが、原油価格の上昇傾向を伴い緩やかな改善を示すインフレ関連指標に関しては、賃金の上昇基調が緩慢であることから、目先の改善は限定的になるものと思われます。

直近は景況感等が若干の減速傾向を示す

 4月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)は55.1となり、3月の55.2から小幅悪化し、年初からの低下基調が継続しています。ユーロ圏の景気拡大が緩やかに続く中で、その速度に幾分の減速感が一時的に出ているものと思われます。この点については、直近の欧州中央銀行(ECB)理事会においてマリオ・ドラギ総裁も言及している通り、悪天候やストライキ、休日要因等がその背景にあるものと考えられます。また、米国を中心とした貿易関連の通商政策動向等、保護主義政策の広がりを受けた不透明感の高まり等も、一部域内の景況感に影響しているようです。米国は鉄鋼・アルミ製品の一部に関税を賦課することを発表しており、今後の交渉次第では6月以降欧州連合(EU)の米国向け鉄鋼・アルミ製品輸出の一部に関税が課され、EUも対抗措置を取ることが想定されます。その様な貿易関連の懸念が市場において高まれば、今後の欧州における企業センチメントの悪化材料として危惧されます。

 ただし、域内の景況感の水準等は今後も注視が必要であるものの、PMIに関しては景気判断の節目となる50を大きく超える水準にあることから、特段の懸念材料とは考えていません。むしろ、悪天候要因が剥落することを受けて、輸出・生産の増加に加えて、消費も回復に転じることが見込まれる点や、今後米国における減税や財政支出拡大効果の表れが期待されること等は、ユーロ圏経済の景況感の改善にも寄与するものと見込んでいます。設備投資や輸出面の改善に恩恵を与える等、世界景気の拡大基調をユーロ圏も享受することが予想される点も、域内経済の安定成長にプラスに働くものと思われます。

ユーロ圏総合PMIとGDP成長率(前期比)

※当コラムは、2018年5月18日時点の情報に基づき執筆しております。

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執筆者のご紹介

    吉田一貴
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    運用部 ポートフォリオ・マネジャー

    国内運用会社を経て2014 年入社。クライアント・ポートフォリオ・マネジャーとして債券プロダクトの運用に従事。一橋大学商学部卒業。

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