2018年3月19日

「もっと知りたい!債券投資
最終回 みんなが注目! 債券の『ライジング・スター』とは?」

ニッキン投信情報 2018年3月5日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 運用部 松本 卓也

 今回は、債券の信用格付けがテーマになります。格付けは、国・企業など債券の債務者や発行された債券に対して、信用力を踏まえて、格付け会社によって付与されます。一般的にアルファベットで表記され、さらに「+、-」や「1、2、3」などの記号を加えて同一格付けの中で相対的な強さを示すこともあります。例えば、米大手格付け会社のS&Pグローバル・レーティング(以下、S&P)による国債(ソブリン)格付けは、ドイツやオーストラリアが最高位のAAA、日本はA+となっています(2018年1月31日時点)。

 債券は、格付けをもとに2つの区分に分けられ、BBB格以上の債券は投資適格債券、BB格以下についてはハイ・イールド債券(非投資適格債券)と呼ばれます。投資適格債券は信用力が高く、値動きは比較的落ち着いています。ハイ・イールド債券は投資適格債券と比べると信用力が相対的に劣り、価格変動性も高い一方、投資家にとっては高い利回りを享受できることが特徴です。

 格付けは第三者による「意見」であり、絶対的な投資尺度ではないものの、債券の信用リスクを知る上で重要な指標です。特に、S&Pやムーディーズ・インベスターズ・サービス、フィッチ・レーティングスなどの格付けは、債券指数における銘柄の組入れ条件として参照されることも多く、こうした大手格付け会社の格付け動向は債券市場で注目されます。また、投資家にとっても、個々のリスク許容度にあわせて、どの債券に投資するかを判断する材料となります。投資信託に焦点を当てると、平均格付けをA格以上としたり、投資適格債券のみを組入れることでリスクを抑制し比較的安定的な値動きを追求するファンドや、高い利回りを求めてハイ・イールド債券を中心に組入れるファンドなど、投資対象の格付けに一定の制約をおいた投資信託は幅広くあり、投資家のリスク選好にあわせた選択が可能と考えられます。

 次に、債券が格上げとなった場合の効果を見てみましょう。下図は、社債の格付けとスプレッド(国債との利回り差)の関係を示しています。他の条件を一定とすれば、一般的に格付けが高いほどスプレッドは小さくなる傾向にあります。このことから、格上げとなる銘柄についてはスプレッドが縮小、利回りは低下し、債券価格が上昇することが期待できます。

 

債券市場格付け別スプレッド(ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル・社債インデックス、2018年1月末時点)

 

 格上げでハイ・イールド債券から投資適格債券となった債券は「ライジング・スター」、逆のパターンは「フォーリン・エンジェル」と呼ばれ、格付けが投資適格債券とハイ・イールド債券の境目付近にある債券は特に注目されます。債券指数や、債券ファンドの銘柄組入れのルールで、投資適格債券に限定されることもあることから、銘柄の格付け変更により、市場の大きな売買を伴う可能性があるためです。BB格からBBB格に格上げとなる時、利回りが大きく低下する場合もあり、このことがライジング・スターとなりうる銘柄に注目が集まる理由の1つといえます。

 全6回にわたり連載させて頂いた「もっと知りたい!債券投資」は今回が最終回となります。債券投資のキーワードを取り上げて、今後の資産運用を考える際のヒントになればと考え、解説してきました。投資家の皆さまの長期的な資産形成のために、これまでの連載の情報が少しでもお役に立てば幸いに思います。

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ニッキン投信情報

執筆者のご紹介

    松本 卓也
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    運用部

    2014 年入社。東京大学大学院工学系研究科 修士号取得
    クライアント・ポートフォリオ・マネージャーとして債券プロダクトの運用に携わる。

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