2017年12月18日

「もっと知りたい!債券投資
第3回 利回りだけでなくロールダウン効果にも着目しよう」

ニッキン投信情報 2017年12月4日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 運用部 松本 卓也

 第3回は、債券の特性値でよく注目される利回りについて取り上げます。

 「債券の利回り」として最も一般的なのは最終利回りです。最終利回りとは、購入した債券を満期まで保有し続けたと仮定した時の1年当たりの投資収益率です。この「満期まで保有した場合」という前提に加えて、最終利回りの計算においては「債務不履行(デフォルト)がない場合」という前提があります。例えば、最終利回りの高さから高利回り債券を選んで投資していたと仮定します。しかしある期間において、その高利回り債券の利回りが上昇し、価格が下落した場合は、同じ年限の低利回り債券よりも期間収益率が低くなることがあります。また、投資している債券の発行体が財政難に陥り、デフォルトとなることもあります。デフォルトにより元利金が回収できないときは、投資収益率が下がることが見込まれます。

 こうした前提には留意が必要ですが、利回りは銘柄間の将来的なパフォーマンスを比較する上で有効な指標の1つです。債券の保有期間において、債券がデフォルトせず、かつ利回りに変化がなかった場合には、高利回り債券は低利回り債券と比較してより高いリターンとなりやすく、より魅力的といえるでしょう。

 次に、イールドカーブ(債券の利回りと債券の残存期間をグラフにしたもの)に着目してみましょう。国や発行体にもよりますが、債券は残存期間が長いほど利回りが高くなる傾向にあります。このため、もしイールドカーブに変化がないと仮定すると、時間経過により残存期間が短くなるとともに、利回りは低下(価格は上昇)することになります。これを「ロールダウン効果」といいます。イールドカーブの傾きが急であるほど、時間経過とともに大きな利回り低下が期待できるため、ロールダウン効果が高くなるといえます。

 日米の国債市場でロールダウン効果を比較してみましょう。日本国債は、残存期間が2年の国債利回りが-0.16%、3年が-0.13%、米国国債については、2年が1.60%、3年が1.73%となっています(2017年10月末時点)。1年間イールドカーブに変化がないとすると、残存期間が3年の日本国債は1年後に残存期間が2年となり、利回りは-0.13%から-0.16%となります。このため、0.03%の利回り低下が期待されます。同様に考えると、残存期間が3年の米国国債は0.13%程の利回り低下が期待されます。日本国債市場では、当局の金融政策を背景に、満期10年以下の債券利回りがおおむね-0.1%~0.1%の狭い範囲に収まっているため、この年限のロールダウン効果は小さくなっています。

 なお、ここでは残存年数が長いほど利回りが高い例であったため、時間経過とともに債券価格が上昇し、ロールダウン効果はプラスとなっていましたが、実際には残存年数と利回りの関係が逆転している市場もあり、そのような市場ではロールダウン効果がマイナスになることも想定されます。

 このように、ロールダウン効果はイールドカーブに依存します。仮に同じ利回りの債券であっても、ロールダウン効果が異なれば、期間収益が異なってくることから、債券運用においては、利回り水準だけでなく、ロールダウン効果を意識した銘柄選択が重要となります。

 

日米国債イールドカーブ(2017/10/31時点)

出所:Bloombergを基にドイチェ・アセット・マネジメント(株)が作成

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執筆者のご紹介

    松本 卓也
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    運用部

    2014 年入社。東京大学大学院工学系研究科 修士号取得
    クライアント・ポートフォリオ・マネージャーとして債券プロダクトの運用に携わる。

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