2017年11月20日

「もっと知りたい!債券投資
第2回 社債のスプレッドとリスクのバランスを重視しよう」

ニッキン投信情報 2017年11月6日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 運用部 松本 卓也

 第2回のテーマは「社債投資」です。第1回のコラムでは、先進国国債市場で低金利環境が続いてきたことを指摘しました。このため、より高い利回りを求める投資家にとっては、企業が発行する債券である社債が選択肢の1つと考えられます。

 一般的に社債の利回りは国債の利回りよりも高く、国債に対する上乗せ金利はスプレッドと呼ばれています。スプレッドには発行体の信用力が反映され、信用力が高いほどスプレッドは小さくなります。スプレッドが縮小して社債利回りが低下すると、社債価格は上昇します。

 スプレッドの変動要因について見てみましょう。1つ目は企業財務です。例えば業績改善により企業の財務状況が改善し信用力が向上すると、スプレッドは縮小します。2つ目は、各国の経済状況です。欧米では、景気回復により足元の企業業績は全般的に良好であり、社債市場全体のスプレッド縮小に寄与しています。3つ目として、市場の需給バランスも変動要因となることがあります。例えば、社債の新規発行が控えめな一方、投資家からの社債需要が強い場合、市場の需要が供給を上回り、スプレッドが縮小すると考えられます。

 スプレッドの変動要因を概観すると、社債にとっては好ましい市場環境が、国債価格の下落要因となる場合もあり、留意が必要であることが分かります。景気回復期を例に見てみましょう。物価上昇や利上げ観測等を背景に国債は利回りが上昇(債券価格は下落)しやすいのに対して、社債は企業業績の回復を受けてスプレッドが縮小した場合、リターンがプラスになることもあります。

 ここで、直近の社債市場で大きな動きがあった場面を紹介します。2015年末から16年初にかけて原油価格が大幅に下落し、WTI原油先物価格は1バレル40~50米ドル付近の推移から、一時30米ドルを割る水準まで下落しました。このため、エネルギーセクターに対する悪影響の懸念から、同セクターを中心に世界の社債市場でスプレッドが大きく拡大しました。その後、原油価格の底入れとともにエネルギーセクターに対する懸念は和らぎ、スプレッドは縮小傾向が続きました。

 日本では社債市場の規模は限定的ですが、海外の債券市場には様々なリスクレベルの社債があり、特に市場規模が大きいのが米国、欧州です。社債投資においては、海外に目を向けることで、ポートフォリオの利回り向上を目指すことが可能です。社債への投資は、国債に対する上乗せ金利がある一方で、相応のリスクも伴いますが、市場の変動性が高まったタイミングは割安となった銘柄を買い増す貴重な機会にもなり得ます。企業分析に基づく適切な投資判断によって、過度なリスクを取らないようにポートフォリオを管理し、組み入れ銘柄を決定することが運用成績向上の鍵となります。

 

投資適格社債市場のスプレッド

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ニッキン投資情報

執筆者のご紹介

    松本 卓也
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    運用部

    2014 年入社。東京大学大学院工学系研究科 修士号取得
    クライアント・ポートフォリオ・マネージャーとして債券プロダクトの運用に携わる。

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