2017年10月16日

「もっと知りたい!債券投資
第1回 債券市場にトレンド変化が起きる!?」

ニッキン投信情報 2017年10月2日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 運用部 松本 卓也

 今回から債券投資をテーマに連載させて頂くことになりました。債券市場の理解を深めるためのヒントや、債券投資において注目したい指標等についてご紹介します。第1回は、債券市場を左右する要因を確認しながら、今後の市場動向を占います。

①金融政策
 金融市場の調整手段として用いる政策金利は債券市場に影響を及ぼすと考えられます。一般的に、金利が低下すれば債券価格は上昇するため、債券は中央銀行による政策金利の引き下げ(利下げ)が期待される局面で良好なパフォーマンスが期待できるでしょう。また、別の金融政策としては量的緩和政策が挙げられます。中央銀行が金融市場に大量に資金供給を行うもので、この政策下で国債を購入することも多く、国債市場の需給逼迫により国債価格が上昇し、金利が低下する要因となります。

②物価
 物価は経済と密接に結びついています。経済活動に勢いがなく物価が低迷すると金利は上昇しにくくなり、債券市場は安定した推移になると考えられます。

③財政拡大
 財政拡大期待が高まると物価上昇期待や財政悪化懸念等で金利が上昇することがあります。例として、2016年11月には米国でトランプ大統領誕生により財政拡大期待が高まり、米国の10年国債利回り(長期金利)は上昇(債券価格は下落)しました。

④市場心理
 市場心理が悪化したときは安全資産として先進国国債が買われ、金利が低下することがあります。直近の例では、17年8月に北朝鮮情勢の緊迫化が懸念される中、米国やドイツ、日本の長期金利は低下しました。

 債券市場の変動要因を概観したところで、近年の市場動向を見てみましょう。07~08年頃に世界的な景気後退に見舞われた後、各国は相次いで金融緩和策を実施しました。その後も各国の緩和策の継続や、物価の伸び悩み等を背景に、金利はおおむね低下基調が継続、直近では日本や欧州の一部の国債利回りはマイナス圏にまで低下するなど、債券市場はおおむね良好なパフォーマンスが続きました。ただし、景気回復の継続等を背景に、米国では金融正常化に向けて断続的に政策金利を引き上げていることに加えて、欧州でも量的緩和策における資産購入額を断続的に縮小するとの見方が強まっており、債券市場は足元でやや変動性の高い状況となっています。長期にわたる金融緩和策の継続や物価上昇率が鈍かった状況は、債券市場にとって比較的望ましい投資環境の一例だったといえますが、今後は金融政策の変化に伴い金利低下が続いてきた債券市場でトレンド変化を迎えるかが注目されます。

国債利回りの推移(2007/12/31~2017/8/31、日次)

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ニッキン投資情報

執筆者のご紹介

    松本 卓也
    ドイチェ・アセット・マネジメント
    運用部

    2014 年入社。東京大学大学院工学系研究科 修士号取得
    クライアント・ポートフォリオ・マネージャーとして債券プロダクトの運用に携わる。

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