2017年8月21日

「資産配分マスターへの道
第5回 魅力的なREITの利回り しかし価格変動には要注意」

ニッキン投信情報 2017年8月7日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 資産運用研究所長 藤原 延介

 過去2回では、株式ファンド、債券ファンドについて説明してきましたが、今回はポートフォリオにおけるREITファンドの位置付けについて考えます。不動産投資信託(REIT)を主な投資対象としたREITファンドは日本で人気が高く、株式ファンド、債券ファンドと並ぶ資産クラスの1つとみなされています。しかし、海外の投資信託市場を見ると、REITは上場株式の1つとみなされ、不動産セクターに特化した株式型に分類されるケースが多いようです。REIT市場は、主に先進国で発展しているため、REITファンドの大部分は、国内REIT(J-REIT)、米国REIT、グローバルREITを投資対象としたものとなっています。

 世界的に低金利環境が続く中で、REITは継続的な不動産の賃貸収入が見込めることから、相対的に高い利回りが期待できる投資対象として、ポートフォリオの一部に組み入れる投資家が多いようです。図表は、主要国・地域におけるREITの利回りと10年国債の利回りを比較したものです。2017年6月末時点で、日本の10 年国債利回りが0.08%であるのに対して、J-REITの分配金利回りは3.73%と大きく上回っており、こうした比較感からREITが注目を集めています。またREITは、不動産価格の上昇があれば、分配金に加えて値上がり益も狙えるため、株式と債券の性格を合わせ持つ投資対象として人気化しているものと考えられます。

 このように利回り差に着目した投資は、投資適格社債やハイイールド債券など、債券の投資戦略を考える際と同様に、有効な手段となります。REITを債券に近い金融商品と見るのであれば、こうした利回り差でREITの魅力を判断する考え方は個人投資家にも理解しやすいものと言えるでしょう。一方で、いくつかの注意点もあります。REITに投資する日本の個人投資家は、多くのケースでREITファンド(投資信託)を通じて、世界中のREITに投資しているものと考えられます。しかし、REITファンドから支払われる分配金は、REITそのものの分配金利回りと大きくかい離しているケースもあるため、その確認が必要です。

 また、REITを債券に近い金融商品とみた場合、債券と決定的に違う点があることも理解しておきましょう。具体的に言うと、REITの分配金は債券のクーポンと違って大きく変動するケースもあるということです。また債券は満期日が決まっていて、最終的に債務不履行(デフォルト)がなければ額面で償還されますが、REITにはそのような特徴はありません。国債利回りなどと比較してREITの魅力を検討することは1つの判断基準ではありますが、株式並みの価格変動を伴う場合もありますので、債券との特徴の違いもきちんと理解しておかなければなりません。ポートフォリオにREITを組み入れる際には、やはり株式に近い投資対象として全体のリスクを考える必要があるでしょう。

主要国(地域)のREIT指数と10年国債の利回り比較(2017年6月末時点)
(出所:ブルームバーグ ※米REIT:MSCI米国REIT指数、J-REIT:東証REIT指数、欧州REIT:FTSE EPRA指数、豪州REIT:S&P/ASX200プロパティトラスト指数を使用)

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ニッキン投信情報

執筆者のご紹介

    藤原 延介
    ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
    資産運用研究所 所長

    大手信託銀行におけるマクロ経済調査、ロイター・ジャパンのリッパー事業部における投資信託の評価や業界分析業務を経て、2007年にフィナンシャル・ストラテジストとしてドイチェ・アセット・マネジメントに入社。付加価値の高い情報提供を目指し、独自の視点で資産運用業界の最新動向や投資環境を分析している。2015年10月より現職。

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