2017年1月16日

「意外と知らない? 投資信託の製造過程ウラ話
第4回 長期運用に欠かせないタイムリーな情報提供」

ニッキン投信情報 2017年1月2日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 資産運用研究所長 藤原 延介

 第3回(2016年12月5日号掲載)は運用部門を中心にパフォーマンスを向上させるためのプロセスについて見てきました。今回は、ファンドの銘柄選定などには直接寄与しませんが、長期にわたる品質管理に欠かせない情報提供にかかわる仕事を取り上げます。ファンドの残高が増加し、長期にわたって安定的に資金が集まることは、パフォーマンスの向上につながる重要な要素です。逆に、短期的に買付と解約が繰り返されると、ファンドマネジャーは、そのための売買を繰り返す必要が出てきたり、解約に備えてキャッシュを多めに保有しておいたりしなくてはなりません。あるいは、長期にわたって保有したい銘柄を現金化する必要にせまられ、投資機会を逸するということにもなりかねません。こうした事態を防ぐため、運用状況や投資環境に関する投資家への情報提供が重要になります。

 クライアントサービスやマーケティングの担当者は、様々な形の情報提供を通じて、投資家にファンドを長く保有してもらい、パフォーマンス向上につなげる役割を果たします。例えば、投資家向けのセミナーを行ったり、販売会社向けの勉強会などを通じて、ファンドの購入をサポートしたり、ファンド保有者に対して運用状況を正しく伝えることが挙げられます。残高が大きいファンドになると、個人投資家の方々も相当数になるため、運用報告書が出るタイミングに合わせてファンドマネジャーの見通しを伝える運用報告会を開催したりもします。こうしたイベントはマーケティング担当者が企画し、プレゼンテーションの講師はクライアントサービス部員が担当するのが一般的ですが、ファンドマネジャー自身が行うこともあります。

 また、金融市場が混乱した際などにも、情報提供の仕事は重要です。基準価額が大きく下落すると、コールセンターには、投資家や販売会社からその背景についての問い合わせが増えることがよくあります。危機の際には、投資家の懸念は行き過ぎる傾向があり、不安になってファンドを解約してしまうケースも少なくありません。こうした中で、臨時でレポートを出したり、投資環境を説明するビデオを作成したりすることで、投資家の過度な不安を和らげて、長期保有につなげるということも、ファンドの品質管理の一部となっています。日本の投信は保有期間が短いとよく言われますが、これを改善することが、業界全体の大きな課題ともなっています。

 最後に、ファンドの運用中においても、ディスクロージャーの業務は重要です。新ファンドの設定時には、有価証券届出書や信託約款、目論見書などの準備を担当しますが、このような法定書類はファンドの運用中にも定期的に更新したり、変更があった際には修正を行ったりする必要があります。こうして更新された情報は、投資家が平等に最新の情報を持って投資判断を行うために欠かせないものとなっています。投資環境の変化などで運用上の変更が生じた際にも、適宜、約款の変更といった手続きを行い、ファンドの長期保有につなげるための一翼を担っています。

 

ETFを除く株式投信の平均保有期間の試算

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ニッキン投信情報

執筆者のご紹介

    藤原 延介
    ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
    資産運用研究所 所長

    大手信託銀行におけるマクロ経済調査、ロイター・ジャパンのリッパー事業部における投資信託の評価や業界分析業務を経て、2007年にフィナンシャル・ストラテジストとしてドイチェ・アセット・マネジメントに入社。付加価値の高い情報提供を目指し、独自の視点で資産運用業界の最新動向や投資環境を分析している。2015年10月より現職。

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