2016年11月21日

「意外と知らない? 投資信託の製造過程ウラ話
第2回 新規設定に重要なディスクロージャーのスピードと正確性」

ニッキン投信情報 2016年11月7日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント 資産運用研究所長 藤原 延介

 前回のコラムでは、新ファンドを設定する際に、スケジュール管理が重要だという話をしましたが、スケジュールを決定する上でポイントとなるのが有価証券届出書の提出日であり、その決定のカギとなるのがディスクロージャーの仕事です。ディスクロージャーとは、「開示」を意味する言葉で、法律等で定められたファンドにかかわる様々な開示書類の作成を担っています。

 個人向けの公募投資信託を新たに設定する際には、設定日・募集開始日・有価証券届出書の提出日についてスケジュール調整が必要となりますが、募集開始~設定までの当初募集期間の日数、さらには届出から募集開始までの中15日の周知期間を考えると、有価証券届出書の提出は、設定日よりもかなり早い段階で行わなければなりません。

 具体的に言うと、新ファンドの当初募集期間を4週間くらい取りたいと考えた場合は、届出の効力発生までの中15日を加えると、ファンドが設定される1カ月半くらい前には、有価証券届出書の提出を済ませる必要があります。この提出が1日でも遅れると、その後のスケジュールにも影響が出てしまいます。そういった意味でも、新規設定のスケジュールにおいて、有価証券届出書の提出は、最初にやってくる厳格に定められた締切り日ということができるでしょう。

 いったん新ファンドの設定が合意されると、運用会社や販売会社としては、ファンド設定の前提となっている投資環境が良好なタイミングで早目に設定したいという意思が働くケースが多いため、ディスクロージャーの担当者は、法定書類の作成にかかる時間と仕事の正確性を勘案しながら、スケジュールを決定していくことになります。

 これに関連して、新ファンドの設定では、オペレーション(業務)部門にも様々な役割があります。商品開発や商品企画が取りまとめる商品概要には、オペレーション部門からの意見も反映されます。例えば、ファンドの決算日や初回分配日、解約代金支払日などは、いったん決めると変更は難しいものなので、慎重に決める必要があります。

 解約代金支払日を例に挙げて考えてみましょう。海外資産に投資するファンドだと、投資家が解約申込をした日を1日目として、資金が戻ってくるまでに5営業日程度はかかってしまいますが、新興国市場だとさらに日数が必要となるケースもあります。当然のことながら、投資家の方々は、いったん解約した以上、できるだけ早く手元に資金が戻ってきてほしいと考えますから、オペレーション部門は海外拠点との調整や海外市場の休業日の確認などを通じて、正確に資金の受渡しが可能な最低限の日数を決めていくことになります。こうした細かい項目も、商品概要を確定する際に、一つずつ決めていく必要があります。オペレーション部門は、専門的な知識を生かしてこうした項目の決定にアドバイスを行います。新ファンドの設定にはこれ以外にも多くの部署が密接に携わっており、運用会社にとっての全社的なプロジェクトといえます。

 新規設定プロセスにおけるディクスロージャーの役割

 

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ニッキン投信情報 表紙

執筆者のご紹介

    藤原 延介
    ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
    資産運用研究所 所長

    大手信託銀行におけるマクロ経済調査、ロイター・ジャパンのリッパー事業部における投資信託の評価や業界分析業務を経て、2007年にフィナンシャル・ストラテジストとしてドイチェ・アセット・マネジメントに入社。付加価値の高い情報提供を目指し、独自の視点で資産運用業界の最新動向や投資環境を分析している。2015年10月より現職。

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