2016年9月20日

「いまさら聞けない!?確定拠出年金
最終回 世界のトレンドは、DBからDCへ」

ニッキン投信情報 2016年9月5日号掲載
【執筆】 ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社

 本連載ではここまで、確定拠出年金(以下、DC)の概要・制度改正・資産配分といった事柄を取り上げてきました。最終回となる今回は、日本におけるDCの今後の拡大余地について、他国と比較しながら見ていきましょう。下図に、OECD加盟国におけるDCと確定給付年金(以下、DB)の割合を2004年と13年でそれぞれ示しました。

 まず全体的な傾向として、04年からの9年間でDC(オレンジ色)の割合が拡大しているのが分かります。22カ国中、DCの割合が増えたのは11カ国と半数に上り、反対に減少したのは3カ国、残り8カ国が変わらずとなりました。また同期間での新規導入は、DCを導入したのがルクセンブルクと韓国の2カ国で、DBを導入したのはメキシコのみとなっています。

 このようにDCが拡大している背景には、先進諸国全般の課題である低成長・低金利及びその長期化が挙げられます。日欧でマイナス金利が導入され、銀行経営への悪影響が注目を集めていますが、年金運営にとっても長期化する超低金利環境は少なからず逆風となってきました。特にDBにとっては、リスク資産の収益性低下と年金債務の増大という両面から年金財政への悪影響が想定され、その状況は多くの先進諸国でおおむね共通したものと言えるでしょう。

 またもう一つ各国共通の課題として、少子高齢化に起因する公的年金の役割の縮小があり、DCの拡大を後押ししてきました。これらの逆風は、日本にとって特に目新しいものではありませんが、やはり短期的・循環的な要因によるものでなく長期的・構造的な要因による変化だと考えられます。そのため、世界的なDBからDCへのシフトは今後も続く公算が高いと言えるのではないでしょうか。

 ひるがえって日本では、DCの割合は04年の8.2%から13年に13.7%と拡大しているものの先進諸国の中では比較的低位にとどまりました。米国でDCの割合が50%を超えたことを踏まえれば、日本のDC市場は中長期的に現在の数倍規模まで成長する余地があると言えそうです。それに向けては、自動加入方式やデフォルトファンド、ハイブリッド型のDCといった制度面の進展に加え、ITを活用した革新的な金融サービスの登場等も成長のきっかけとなりうるでしょう。

 以上、DCの拡大をめぐる先進諸国の状況を確認してきました。日本においても、時間はかかるかもしれませんが、年金や資産形成に自助努力が求められる趨勢は強まることこそあれ、逆戻りする可能性は低いと考えられます。そこで最後に、DCの精神にも通ずる名言として、元英国首相マーガレット・サッチャーの「お金は天から降ってこない。地上で稼ぎださねばならない」という言葉をご紹介し、本連載の締めくくりとさせていただきます。全6回、お付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。


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