2016年2月16日

「マーケットの風 金融政策(ヨーロッパ)
ユーロ圏は景気回復のモーメンタム」

週刊金融財政事情 2016年1月11日号掲載


 2016年の世界経済を展望すると、新興国に代わって先進国が牽引するかたちで、15年をやや上回るペースで経済成長がゆるやかに続くと見込まれる。アメリカでは、他国と比べれば高めの経済成長率となりそうだが、利上げも開始され、「今回の景気拡大局面はいつまで続くのか」ということが折に触れて意識されやすい年と思われる。日本では、アメリカやヨーロッパと比較した低めの経済成長率に加え、来年4月の消費税率引上げも視野に入り、景気減速の兆しにより敏感な年になるだろう。一方、ユーロ圏については、「景気回復のモーメンタム(勢い)は上向き」との見通しを欧州中央銀行(ECB)も示唆しており、日本やアメリカとは好対照である。

 ECBのドラギ総裁は15年12月の追加緩和を決定した日の会見でも、記者の質問に答えるかたちで「ユーロ圏の景気回復は域内で広がりをみせている」と述べている。その日、「決定内容は事前予想を下回る」と受けとめられ、債券安や株安、ユーロ安で市場が反応し、市場の失望に関する質問が相次いだ。それに対してドラギ総裁は、「景気回復が着実に進んでいる現状では、(市場が期待した)大規模な追加策は不要」といいたげな印象を市場に与えた。

 15年秋には、「中国の景気悪化が世界経済に波及する」との懸念から世界的な株安連鎖となった。それ以降、市場は新興国の景気低迷等がユーロ圏経済に及ぼす悪影響の有無・程度を見極めようとしていた。そうしたなかで、ドラギ総裁は景気回復が着実に進んでいることを市場に印象づけようとしたのだ。ユーロ圏経済成長率見通し(15年12月時点)を説明した際にも、3カ月前(9月時点)と比べて「おおむね変更ない」と述べ、「下方修正もありうる」と懸念していた市場を安堵させた。むしろ15年(1.4→1.5%)等はわずかながらも上方修正となった。

 このECBの見通し等をふまえ、5年間の経済成長率の推移をグラフ化してみた。日本やアメリカと比べて、欧州債務危機でマイナス成長(12年▲0.9%等)に沈んでいたユーロ圏経済で、景気の右肩上がりのモーメンタムが一目瞭然となっている。ECB資料には、「〝多くの追い風〞が、16〜17年にかけて、内需が牽引するユーロ圏景気の回復を下支えし続けると見込まれる」との記述がある。緩和策による銀行貸出の復調やユーロ安・原油安の恩恵、難民対策等で見込まれる財政支出増、家計や企業のバランスシート調整(債務返済)完了の見込みなど、〝多くの追い風〞がユーロ圏景気の着実な回復を下支えしそうだ。

(注)   2015、16年は各中銀予測値。日本のみ日本銀行「展望レポート」にあわせ前年度比、ほかは前年比。
(出所) 各国統計および各中銀資料をもとにドイチェ・アセット・マネジメント作成。


    上記メディア寄稿文は一般社団法人金融財政事情研究会の承諾を得て記事を転載したものです。コピー等はご遠慮ください。

    当資料は、情報提供を目的としたものであり、特定の投資商品の推奨や投資勧誘を目的としたものではありません。当資料は、信頼できる情報をもとにドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が提供しておりますが、正確性・完全性についてドイチェ・アセット・マネジメント株式会社が責任を負うものではありません。当資料記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。市場や経済に関するデータや過去の運用実績は記載時点のものであり、将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。

    D-151221-1

Copyright © ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第359号
加入協会 日本証券業協会・一般社団法人投資信託協会・一般社団法人日本投資顧問業協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
【当社を装った詐欺的行為にご注意ください。】