2019年4月15日

3月19日に日本銀行が2018年10-12月期の資金循環統計を発表しました。10-12月期は金融市場の混乱に見舞われ、日経平均株価が-17.0%と3四半期ぶりの下落を記録するとともに、四半期ベースでは2008年10-12月以来10年ぶりの大幅なマイナスとなりました。また、為替市場でも米ドルが対円で-4.1%と、同じく3四半期ぶりの下落となっています。こうした金融市場の動きを受けて株式や投資信託の評価が大きく押し下げられ、2018年12月末時点の家計金融資産残高は、過去最高となった2018年9月末比-1.6%の1,829兆8,976億円と3四半期ぶりに減少しました。以下、主要金融商品について、足元の家計金融資産の状況を確認します。

家計金融資産における主要金融商品の残高シェアの推移

上のグラフは、各金融商品が家計金融資産全体に占めるシェアですが、昨年12月末時点の「現預金(外貨預金を除く)」の比率は53.8%と株式相場の急落などを受けて急上昇し、2012年12月以来の高水準となりました。2013年以降は52%前後で推移していましたが、アベノミクス後の現預金の低下トレンドはいったん終了したと言えそうです。一方、代表的なリスク資産である「株式・出資金」と「投資信託受益証券」(以下、投資信託)は、いずれも大きく低下しています。投資信託のシェアは9月末の4.0%から3.7%に低下し、2012年12月以来の低水準となっています。なお、外貨建て資産に投資する金融商品としては、外貨預金のシェアはほぼ横ばいながら2四半期ぶりに上昇、対外証券投資のシェアは2四半期ぶりの低下となりました。続いて、主要金融商品の資金フローを見てみましょう。

家計金融資産における主要金融商品の資金フローの推移

上のグラフを見ると、「現預金」は賞与の影響などから季節性が見られる一方で、「株式・出資金」は昨年10-12月期に+1兆14億円と3四半期ぶりの資金流入となっており、日本株が下落した局面では買われるという逆張りの動きが続いています。一方、投資信託は10-12月期に-6,333億円と3四半期連続のマイナスとなっており、分配金の払出しが資金流出に計上されるなどの計算方法の変更という要因はあるものの、家計金融資産における投資信託の活用が停滞しつつあることを示唆しています。

なお、「国債・財融債」は、個人向け国債の償還がピークを越えたことに加えて、日銀のマイナス金利政策で個人向け国債を見直す動きが広がったことで、10-12月期は+992億円と3四半期連続のプラスとなっています。また、外貨建て資産に投資する金融商品としては、外国証券や外国投資信託が含まれる「対外証券投資」が+356億円と3四半期連続の資金流入、「外貨預金」が+169億円の7四半期連続の資金流入となり、小幅なプラスではあるものの、外国資産・外貨投資に対する根強いニーズを示すものと言えそうです。

最後に、家計部門の外貨建て金融資産の残高も確認しましょう。定義としては資金循環統計における外貨預金、対外証券投資に加えて、公募投資信託のうち、投資対象が日本のみとなっているファンド(日本株ファンド、日本債券ファンド、J-REITファンド、日本のみのバランス型ファンド)を除いた株式投信を集計したものです。

次のグラフが家計金融資産における外貨建て資産の残高推移を示したものですが、2018年末時点で74兆5,729億円と2017年末の81兆5,285億円から2年ぶりに減少し、年末ベースでのピークである2014年末の83兆1,476億円以降は伸び悩んでいます。また、家計金融資産全体に占める比率としては4.1%と3年ぶりに低下しており、外貨建て資産の保有も停滞している状況です。投資信託の活用は、個人投資家の直接投資が容易でない外貨建て資産でより効果を発揮すると思われることから、3.7%まで低下してしまった家計金融資産における投資信託の比率を上げるためにも、長期的に高いリターンが期待される外貨建て資産の保有を再び推進していくことが重要だと思われます。

家計金融資産における外貨建て資産の残高(推計)

ドイチェ・リポートHighlightsとは? ―ドイチェ・アセット・マネジメント 資産運用研究所は、主に投資信託の販売に携わる銀行や証券会社向けのサービスとして、資産運用業界動向を分析した「ドイチェ・リポート」を発行しています。「ドイチェ・リポートHighlights」では、「ドイチェ・リポート」の中から、特に個人投資家の皆さまの資産形成に役立つと思われる情報やデータをハイライトしてご紹介します。

Copyright © ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第359号
加入協会 日本証券業協会・一般社団法人投資信託協会・一般社団法人日本投資顧問業協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
【当社を装った詐欺的行為にご注意ください。】