2019年3月15日

2月18日付の日本経済新聞朝刊に、「個人の投信保有が長期化、積み立て型寄与、昨年、平均3.4年」という見出しの記事があり、当研究所が提供した「平均保有期間」のデータが引用されました。また記事では、「運用を金融機関に一任するラップ型投信や複数資産に分散投資するバランス型投信も長期運用が多く、ともに残高が拡大する。確定拠出年金(DC)専用投信も合わせた純資産残高は18年末に18.6兆円と10年前から2.3倍に増え、公募投信全体の2割弱を占める」との記載がありました。今回のドイチェ・リポートHighlightsではこの部分の説明を少し追加したいと思います。

まず、なぜDC専用ファンド、ラップ口座専用ファンド、アセットアロケーション型ファンドの3つのカテゴリーを「長期資金」と定義して集計したのかという点ですが、これらは資産形成のコア(中心)となる部分であり、短期的な相場に一喜一憂して解約することが少ないと考えられることが理由にあげられます。記事では「ラップ型投信」とありましたが、これはラップ口座専用ファンドのことであり、アセットアロケーション型ファンドとともに、金融機関にアロケーション運用を任せるタイプの商品と言えます。現役世代については、DC専用ファンドに加えて、積立投資も長期運用につながりやすいと考えましたが、積立専用のファンドは数も残高も限定的であるため、ここでは割愛することにしました。なお、アセットアロケーション型ファンドは、投資地域が「日本」もしくは「グローバル」となっているものを対象とし、新興国や特定の国(地域)に特化したものは除いています。

DC専用ファンド、ラップ口座専用、アロケーション型(日本/グローバル)の残高推移


※平均保有期間の算出方法について
年間の平均純資産残高と解約・償還額のデータを用いて試算。解約・償還額を平均純資産残高(月次データを使用)で割ったものを「解約・償還率」、そのペースで解約・償還が続くと保有者が入れ替わるのにどれくらいの期間がかかるかを計算したもの(「解約・償還率」の逆数)を「平均保有期間」としている。

上のグラフが3つのカテゴリーの残高推移を示したものですが、合計の残高は7年連続で増加し、2018年末時点で18兆5,685億円に達しています。個別に見ると、DC専用ファンドは10年連続で増加し4兆7,933億円、ラップ口座専用ファンドも10年連続で増加し7兆1,611億円、アセットアロケーション型は6年連続の増加で6兆6,141億円となっています。

続いて、記事の「公募投信全体の2割弱を占める」という部分については、ETFも含めた公募投信全体の数字で単純に割ったものと思われますが、ETFについては金融緩和策の一環で日本銀行が買い入れている金額が大きいことから、個人投資家の資金という意味では、ETFを除いて考えた方がより実態に近いと考えられます。そこで、これらの3つのカテゴリーの残高合計額を、ETFを除く追加型株式投信の残高で割ったものが、次のグラフです。

DC専用ファンド、ラップ口座専用、アロケーション型(日本/グローバル)が追加型株式投信(ETF除く)に占める割合

これを見ると、個人投資家の動向を反映すると言われるETFを除く追加型株式投信に占める3つのカテゴリーの比率は、6年連続で上昇し、2018年末時点で31.3%に達しています。残りの7割弱が全てサテライト商品と言うわけではありませんが、3つのカテゴリー以外の比率は低下が続いています。実際に、3つのカテゴリー以外の投信残高は2014年の54兆5,011億円をピークに、2018年時点では40兆7,850億円まで減少しており、DC専用、ラップ口座専用、アロケーション型ファンドとは対照的な動きとなっています。

最後に、この3つのカテゴリーの資金フローを確認しておきましょう。以下にあるように、これらの長期投資が期待される3つのカテゴリーへの資金流入は5年連続で1兆円を超えており、2018年は株式相場が低迷する中で+2兆7,427億円と2年連続で資金流入が加速しています。資産運用・資産形成のコアとなる長期資金が、株式相場に左右されにくいことを示すものといえるでしょう。また、こうした資金フローの傾向が続くとすれば、3つのカテゴリーの比率は更に高まっていくことが予想されます。これは、米国の個人向け資産運用ビジネスにならって、DC市場やファイナンシャル・アドバイザーを経由したアセットアロケーション運用の存在感が高まり、ひいては個人投資家の投信の長期保有につながるものと期待されます。

DC専用ファンド、ラップ口座専用、アロケーション型(日本/グローバル)の純設定額推移

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