2019年2月28日

2月13日付の日本経済新聞に「つみたてNISA、1年で100万口座 若年層の開設目立つ」という見出しの記事がありました。これは、2月12日に金融庁が平成30年12月末時点における「NISA口座の利用状況調査」の速報値※1を発表したことに合わせたものです。速報値のため、商品別の詳細などは今後の公表となりますが、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAの口座開設数および累計の買付額が明らかにされています。

その中で、2018年1月に買付がスタートしたばかりのつみたてNISAが1年で100万口座に達したことが公表されましたが、昨年8月に個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数が100万人を突破したことに続いての大台達成であり、現役世代を中心とした資産形成の動きが広がっていることを示すものと言えるでしょう。今回のドイチェ・リポートHighlightsでは、現役世代の積立投資をサポートする税制優遇制度であるNISAと確定拠出年金市場の現状を確認したいと思います。

※1:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20190213.html

まずは、つみたてNISAスタートからの1年間における口座数の推移をみてみましょう。つみたてNISAの口座数は3月末時点で50万7,462件、6月末時点で68万8,573件、9月末時点で87万5,658件と推移し、12月末時点で103万7,169件と大台に達しました。2018年における一般NISA口座の増加が43万7,010件、ジュニアNISAの増加が5万5,331件であったことを勘案すると、口座数で見たつみたてNISAの増加分(103万7,169件)は極めて大きいものだったと言えます。続いて、買付額に占めるつみたてNISAの比率を確認します。

NISA口座のタイプ別買付額(億円)

上のテーブルに示したように、口座数と比較すると、買付額におけるつみたてNISAの存在感は小さいものの、年後半にかけてその比率が高まったことが確認できます。1-3月と10-12月は、一般NISAの買付額が季節的に大きくなりやすい傾向がありますが、10-12月期におけるつみたてNISAの買付額は全体の5.0%にあたる352億円まで拡大しました。1-3月が月平均37億円だったのに対し、4-6月は月平均65億円、7-9月は月平均90億円、10-12月には月平均117億円となっています。10月から12月においても徐々に積み立ての動きが広がっているとすれば、12月の買付額は月120-130億円規模(年間1,500億円程度のペース)にはなっていると推測されます。そして、この12月の買付額は2019年1月以降のベースになるため、2019年の買付額は2,000億円を超える可能性もありそうです。

NISA口座における資産形成層の積立投資は、つみたてNISAに限った話ではなく、一般NISA口座においても行われています。昨年7月2日に金融庁が公表した「NISA(一般・つみたて)の現状」※2という資料によれば、つみたてNISA口座の開設において、新規の口座開設が全体の66%、非稼動の一般NISA口座からの切替えが11%を占め、稼動している一般NISA口座からの切替えは23%にとどまったとのことです。こうした傾向が変わっていないとすれば、引き続き、一般NISAでの積立投資は一定の規模が残っているものと思われます。NISA口座における積立投資の統計は年1回しか公表されておらず、2018年分はこれからの公表となるため、ここでは2017年末時点の状況を確認します。

(一般)NISA口座における積立投資設定額(毎月の積立額、億円)

上のテーブルを見ると、一般NISA口座において、2017年末時点で387億円の積立投資設定額があるということになります。このうち、40歳代までの動向を見てみると、2017年末の積立投資設定額としては131億円と、2014年の54億円から、2015年86億円、2016年99億円と順調に伸びています。つまり一般NISA口座においても、2017年末時点で年率換算1,500億円超の資産形成層の積立投資があったということであり、この多くが残っているとすれば、つみたてNISAと合わせて、年間ベースで3,000億円程度の積立投資が広がってきたということになります。

※2:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20180702-1/01.pdf

また、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数を見ても、2018年末時点での加入者数は112.4万人まで増加し、2017年末比で+37.9万人となっています。2018年の最後の4カ月(9月~12月)の増加数は+11.4万人だったため、月間3万人弱と若干ペースは落ちていますが、それでも順調に拡大していると言えるでしょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数と資産額(運用指図者分含む)

2017年1月の制度改正を受けたiDeCo加入者増加の大部分を第2号加入者が占めていることから、その年間の拠出限度額は14.4万円~27.6万円(月1.2万円~2.3万円)となっています。仮に平均的な拠出限度額が月1万円としても、100万人の拠出金額は年間で1,200億円という計算になり、加入者100万人という規模が与えるインパクトを実感できるのではないでしょうか。

ただし、確定拠出年金の場合は、積立金額の全てが投資信託に向かうわけではないという点も留意すべき点です。そこで、最後に企業型も含めた市場規模を把握するため、確定拠出年金(DC)専用ファンドのデータを確認しておきましょう。2018年末時点のDC専用ファンドの残高は4兆7,933億円と、2017年末の4兆7,516億円から+0.9%の増加にとどまっています。一方で、2018年におけるDC専用ファンドの純設定額は+5,182億円と2017年の+3,052億円を大きく上回り、5,000億円の大台に達しています。2018年の残高増加が小幅にとどまったのは株式相場の下落要因が大きく、iDeCoの対象者拡大やデフォルト商品の改正などを受けて、確定拠出年金を経由した現役世代の資産形成の動きは着実に広がっていると言えます。

確定拠出年金(DC)専用ファンドの残高と純設定額の推移

なお、確定拠出年金制度内で選ばれる投資信託は必ずしもDC専用ファンドではなく、最近ではDC専用ファンドを一般的な投資信託の販売チャネルで取り扱うケースも増えていることから、実際はこの金額を超える規模の投信残高・資金フローとなっていると考えられます。つみたてNISA、一般NISAにおける積立投資も含めて、現役世代の資産形成が投信市場における存在感は徐々に高まっていると言えるでしょう。

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