2018年11月8日

iDeCo(イデコ)の加入者100万人突破! すそ野広がるDC市場の現状と今後の課題。

— 確定拠出年金改正法でiDeCo加入対象者が広がり、8月末時点の加入者数が100万人を突破。— 企業型DCの648万人、11.7兆円と比べると限定的ながら、DC市場のすそ野拡大に大きく寄与。— 投資信託の比率は企業型・iDeCoともに5割未満で、存在感を高めて有効な資産形成に資することが課題。

9月28日に国民年金基金連合会が運営する個人型確定拠出年金(iDeCo)の公式ウェブサイト※1で、2018年8月末時点のiDeCoの加入者数が100万人を突破したことが発表されました。2016年5月の確定拠出年金改正法の成立で、2017年1月からiDeCoの加入対象者が拡大したことを受けて、iDeCoの加入者は2017年に入って急速に拡大しており、2017年3月末には40万人を突破、2018年3月末には80万人を突破しました。

なお、8月末時点の加入者数は100万9,766人となっており、このうち自営業者など第1号加入者が13万3,633人、会社員や公務員など第2号加入者が84万6,519人、専業主婦など第3号加入者が2万9,614人と、会社員・公務員が加入者の増加を牽引したと言えます。まずは、iDeCoの加入者数と資産額の推移を見ておきましょう。

※1:https://www.ideco-koushiki.jp/

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数と資産額(運用指図者分含む)

iDeCo加入者数が100万人を突破したといっても、依然として企業型の確定拠出年金の648万人(2018年3月末時点)と比べると、その規模は限定的です。とりわけ資産額に関しては、2018年3月末時点でiDeCoが1兆6,180億円に対して、企業型の確定拠出年金は11.7兆円程度と12兆円に迫っており、その1割程度の水準となっています。これは、iDeCo加入者数の増加が足元の2年弱に集中していることに加えて、加入者の8割を超える第2号加入者(会社員や公務員)の拠出限度額が限定的となっているためと考えられます。それでも、加入者が100万人を超えて増加基調にあることは、利用者のすそ野が広がっていることを示しており、時間をかければ確実に資産額が積み上がっていく道筋を示すものと言えるでしょう。

企業型確定拠出年金の加入者数と資産額(運用指図者分含む)

確定拠出年金は税制上の優遇措置が講じられており、その制度の認知度が広がっていけば、更なる加入者拡大も見込まれます。一方で、確定拠出年金は老後の生活を支えるための長期の資産運用ツールであるにも関わらず、資金の振り向け先に預貯金や保険などの元本確保型の商品を選ぶ加入者が多いのが現状です。金利がほぼゼロに近い定期預金などで運用していても、将来の年金資産を十分に増やすことは難しく、元本確保型にとどまりがちな加入者に対して、分散投資を促すことが課題として残ります。

「確定拠出年金統計資料(平成29年11月版)」(運営管理機関連絡協議会)によれば、2017年3月末時点の運用商品選択状況は、企業型で投資信託等の比率が46.1%、個人型(iDeCo)では35.1%にとどまっています。次のグラフは確定拠出年金専用ファンド(DC専用ファンド)の残高推移です。確定拠出年金市場の拡大に伴い、 DC専用ファンドの残高も増加基調にあるものの、投資信託の活用を広げてその増加スピードを上げることが重要と考えられます。

DC専用ファンドの純資産残高とその内に占めるターゲット・デート・ファンド

上のグラフに示したように、2018年9月末時点におけるDC専用ファンドの残高は5兆3,299億円となっています。DC専用ファンド以外の投資信託が利用されている部分もあるものの、企業型と個人型を合わせて13兆円規模の資産額に対して、DC専用ファンドの残高は限定的となっています。こうした課題を解決する動きとして、ターゲット・デート・ファンド(TDF)※2を指定運用商品(デフォルト商品)※3とする事例が出てきているようです。今年の5月に厚生労働省は確定拠出年金の制度を一部改正しました。例えば、運用商品の品揃えについては商品数に上限を設けたほか、元本確保型商品の提供は義務ではなくなりました。また、加入者が一定期間を経過しても商品を選択しない場合には掛け金を自動的にデフォルト商品に回せるという規定も整備されました。

米国でのDC市場拡大は、TDFをデフォルト商品とすることを認めたことが背景の1つとなっており、日本のDC資産額における投資信託の比率上昇にも大きく寄与するものと思われます。DC専用ファンドにおけるTDFの残高は2018年9月末時点で320億円、足元1年間の純設定額は+44億円にとどまっています。DC専用ファンドの残高、純設定額のグラフにおいて、TDFの存在感は極めて小さいというのが現状ですが、資産運用業界は確定拠出年金制度がより多くの投資家に活用されるための分かりやすい情報提供に努めるとともに、TDFの存在感を高めていくなどの努力を継続し、加入者の有効な資産形成に貢献することが期待されます。

DC専用ファンドの純設定額とその内に占めるターゲット・デート・ファンド


※2:退職などライフイベントのある時期を目標(ターゲット・デート)に定め、最初は積極的な運用を行い、ターゲット・デートが近づくにつれて安定運用に切り替える投資信託

※3:加入後の一定期間に運用商品の選択を行っていない場合に、自動的に加入者の掛金を運用することになる商品

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