2018年5月14日

シニア層の資産の取崩しに新たなトレンド!? 隔月決算型の新規設定相次ぐ。

— 2018年に入って、隔月決算型ファンドの新規設定の動きが相次ぐ。— 隔月決算型ファンドは2007年ピーク時に5兆円に迫るも、その後は毎月分配型人気に押され低迷。— インカム収入やリターンにターゲットを設定し、シニア層の資産の取崩しをより計画的に行うような商品性に。

隔月で決算を行うタイプの商品に新規設定の動きが続いているようです。2017年は隔月決算型ファンドの新規設定は見られなかったものの、2018年に入って既に3本が設定されています。4月20日にはさらに2本(2コース)が隔月決算型として届出(5月16日設定予定)されており、いずれも大手販売会社での取り扱いとなっています。

2018年設定(予定含む)の隔月決算型ファンドの概要

こうした新商品誕生の背景にあるのは、シニア層に関する金融サービスを模索する動きです。昨年11月に金融庁が策定した平成29事務年度「金融行政方針」では「退職世代等に対する金融サービスのあり方の検討」という項目が新たに盛り込まれました。その中でも、以下にあるように「それぞれの状況に適した資産の運用と取崩し」に焦点を当てたものと考えられます。これらの隔月決算型のファンドは奇数月(1月、3月、5月・・・)に決算を行うものが多くなっています。公的年金の支払いが偶数月となるため、シニア層の取崩しをより計画的に、より生活に沿った形で行うことを目指したものと考えられます。もちろん、毎月決算(毎月分配)を行うファンドも同様に、シニア層の資金取崩しニーズに応えた商品として成長してきた経緯はありますが、隔月での分配という商品設計は、よりこうしたニーズに寄り添った対応を行うものと言えるでしょう。

「高齢者が長期にわたって不安なくゆとりある生活を維持していくためには、それぞれの状況に適した資産の運用と取崩しを含めた資産の有効活用が計画的に行われる必要がある」【平成29事務年度「金融行政方針」】

ただし、隔月決算型のファンドが、平成29事務年度「金融行政方針」で指摘されてから初めて誕生した金融商品というわけではありません。ここで、投信残高における決算頻度別の残高推移を長期に渡って振り返ってみたいと思います。

ETF除く追加型株式投信における決算頻度別の純資産残高推移(2006年1月~2018年3月)

2018年3月末時点で見ると、隔月決算型ファンドの残高は7,617億円と、投信残高(ETFを除く追加型株式投信)に占める比率は1.2%となっていますが、2007年10月のピーク時には4兆8,731億円と5兆円に迫るなど、リーマン・ショック前には残高を大きく延ばした時期も見られました。全体に占める隔月分配型ファンドの比率としては2008年1月の7.9%がピークとなっています。2005年5月に設定された隔月決算型ファンドが人気となり、多くの資金が集まったことに加えて、2005年10月に郵便局での投信窓販がスタートし、公的年金を補完する商品として隔月分配型ファンドが導入されたことで、残高が大きく拡大しました。その後、リーマン・ショックを経て、毎月分配型ファンドが取崩しニーズを捉える一方、隔月分配型のファンドの存在感は低下していったという状況です。

ETF除く追加型株式投信における毎月決算、隔月決算の残高比率の推移(2006年1月~2018年3月)

なお、2018年以降の新商品においては、インカム収入やリターンにターゲットを設定し、分配金の払出し率を安定させるなど、金融危機前の商品と比べて、より計画的な取崩しを意識した商品性となっているようです。過去数年に渡って、シニア層向け商品については、毎月分配型ファンドの情報提供に関する問題意識などで、前向きな話が出にくい環境にありましたが、こうした新しいサービスを模索する動きが出てきているのは投信業界にとって明るいニュースと言えるでしょう。もちろん隔月決算型ファンドが投資信託を使った取崩しの唯一の答えという訳ではなく、ファンドラップの機能を活用したり、毎月分配型ファンドの活用方法を整理したり、定時定額の自動解約によって取崩しニーズに応えるといった方法なども考えられます。重要なことは、投信業界がシニア層の生活に寄り添い、資産運用をベースにした取崩しのあり方を積極的に議論していくことであると思われます。

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