2018年3月9日

毎月分配型ファンドの存在感低下も、シニア層に適した新たな取り崩しのあり方を検討する必要

— 毎月分配型ファンドの存在感が低下し、投信残高に占める比率は2017年末に46.5%と過半割れ。— 毎月分配型ファンドは2017年に資金流出に転じ、販売に占める比率は34.3%と3割台まで低下。— 毎月分配型ファンドを否定するだけでなく、シニア層に適した新たな取り崩しのあり方を検討する必要も。

2月17日付の日本経済新聞朝刊(M&I)に「投信、初心者は長期視点で――複雑な設計・毎月分配は避ける」という見出しの記事がありました。この中で、投信評価を事業の一つとする格付投資情報センター(R&I)が公表する「NISAスクリーニング」が紹介されています。「初心者が少額投資非課税制度(NISA)を通じて中長期で資産形成するのにふさわしい投信」として、「長くつきあうには分配方針も大切」と指摘し、「毎月分配型のように分配金を多く払い出すほど資産は成長しにくい」ため、選定対象は分配頻度が年1回の投信に限るという基準が示されています。今回のコラムでは、毎月分配型ファンドの状況について、年次データで長期トレンドを確認したいと思います。まずは、個人投資家の動向を反映するといわれるETFを除く追加型株式投信の純資産残高について、毎月分配型と非・毎月分配型の残高データから見ていきましょう。

国内公募・追加型株式投信(除くETF)の決算頻度別 残高の推移

2017年末時点における全体の純資産残高65兆7,791億円に対して、毎月分配型ファンドの残高は46.5%にあたる30兆6,120億円、非・毎月分配型が53.5%にあたる35兆1,671億円となっています。投信販売において預かり資産の拡大を重視する動きが広がったことなどから、昨年10月末時点で、毎月分配型ファンドの残高が50%を割り込みました。年末時点で見ると、毎月分配型ファンドの残高シェアのピークは2011年末の72.2%となっていますが、その後6年連続で同比率が低下していることが確認できます。続いて、毎月分配型ファンドの純設定額(=設定額-解約額-償還額)の動向を見てみましょう。

国内公募・追加型株式投信(除くETF)の決算頻度別 純設定額の推移

2017年の毎月分配型ファンドの純設定額は-1兆5,538億円と上のグラフの期間で初めての資金流出に見舞われました。また、これに分配金払出し額を加えると、データ以上に大きな資金流出が起きている計算となります。一方で、非・毎月分配型ファンドは+4兆2,663億円と5年連続の資金流入で、資金流入額は2015年に匹敵する水準となっています。最後に、投信販売の実額を把握するために、純設定額ではなく、「設定額(販売額)」のデータを見てみましょう。

国内公募・追加型株式投信(除くETF)の決算頻度別 設定額(販売額)の推移

上のグラフを見ると、2017年の投信販売額が全体で27兆5,296億円に回復する中で、非・毎月分配型ファンドの販売額は18兆860億円とグラフに掲載した期間で最大となっています。一方で、毎月分配型ファンドの販売額は9兆4,436億円と4年連続で減少し、グラフの期間で初めて10兆円を下回るなど対照的な動きとなり、2017年の販売額全体に占める毎月分配型ファンドのシェアは34.3%にまで低下しています。なお、月次ベースで見ると2017年12月は23.4%と、2017年10月に26.5%と3割を下回ってから、さらに低下している状況です。

足元では、債券ファンドやREITファンドなど利回り重視の商品ではなく、テーマ型の株式ファンドなど値上がり追求型の商品の販売が好調という要因もありますが、規制環境の変化などによる投信販売のビジネスモデルの変化も大きいものと考えられます。時代を席巻してきた毎月分配型ファンドの人気が下火となる一方で、シニア層に適した資産の取り崩しのあり方は、検討すべき課題となっています。2017年11月に公表された平成29事務年度「金融行政方針」では、「高齢者が長期にわたって不安なくゆとりある生活を維持していくためには、それぞれの状況に適した資産の運用と取崩しを含めた資産の有効活用が計画的に行われる必要がある」とも指摘されており、毎月分配型ファンドを否定するだけでなく、新たな取り崩しのあり方を検討する前向きな議論も求められていると言えるでしょう。

Copyright © ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第359号
加入協会 日本証券業協会・一般社団法人投資信託協会・一般社団法人日本投資顧問業協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
【当社を装った詐欺的行為にご注意ください。】