2017年7月21日

ドイチェ・リポートHighlights_Vol.18-NISA3年間の振り返り!現役世代の新規開拓とともに投資開始をサポートすることが重要に。

— 2016年末のNISA累計買付額が9.4兆円に達するも、年間の買付額は2兆9,651億円と2015年を下回る。 — 2016年のNISA買付額に占める投資信託の比率は55.1%と、2015年63.0%、2014年の65.3%から低下。 — 「つみたてNISA」スタートを控え、現役世代の新規開拓とともに投資開始をサポートすることが重要に。

6月14日に金融庁が平成28年12月末時点の「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査」*を公表しました。2014年1月からスタートした成人向けのNISAはちょうど3年分のデータが出揃ったことになるため、NISA3年間を振り返りたいと思います。2016年末時点における3年間の累計買付額は9兆4,096億円と着実に増加し、10兆円に迫っています。一方で、2016年末時点のNISA口座における残高は6兆3,360億円となっており、分配金払出しや相場要因もあるものの、既に一定の解約が出ていることも確認できます。以下、NISA口座における買付状況について、商品別の動向から詳しく見ていきましょう。
*http://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-1.html

成人NISA口座における商品別の累計買付額(億円)

NISAスタート以降の累計買付額を上のグラフで確認すると、引き続き上場株式と投資信託が中心になっており、2016年末時点で上場株式が36.2%にあたる3兆4,019億円、投資信託が61.3%にあたる5兆7,637億円となりました。累計買付額でみると、依然として6割強を投資信託が占める計算となりますが、2015年夏以降の円高・株安による長期投資意欲の減退などもあり、2016年は、投資信託よりも上場株式(個別株式)の買付でNISA口座が活用されることが多くなっているようです。また、金融庁が当初目標に掲げていた「2020年までに投資総額25兆円」を年間3.6兆円ペースと見れば、当初3年間はこれを下回るペースで推移している点も留意する必要があるでしょう。続いて、年次の商品別の買付動向を確認します。

成人NISA口座における商品別買付額(億円)

2016年のNISA口座における買付額は2兆9,651億円と、2015年の3兆4,675億円から減少しました。商品別に見ると、上場株式の買付額は2016年に1兆2,364億円となり、2015年の1兆1,949億円から増加しています。金額は大きくないものの、ETFもREITも2016年の買付額は2015年を上回っており、投資信託の買付低迷が2016年の減少の要因となっています。全体の買付額に占める投資信託のシェアは2014年の65.3%から、2015年に63.0%、2016年に55.1%と低下しており、NISA口座は投資枠の再利用が出来ないなどの特徴から投資信託に向くとされていましたが、そうはなっていない現状がうかがえます。投資信託の活用は、投資初心者や長期投資の動きを示す目安の1つと考えられることから、引き続き投資初心者や資産形成層の開拓が重要といえるでしょう。続いて、NISA口座における年代別の利用状況も確認します。

年代別のNISA・ジュニアNISA口座の口座開設数 (出所:金融庁資料を基にドイチェ・アセット・マネジメント(株)資産運用研究所が作成)

上の表とグラフは2014年~2016年末のNISA口座の口座開設数を示したものです。2016年末の成人NISAの口座開設数を見ると、増加ピッチは減速したものの、前年比7.5%増加して1,061万3,172件に達しています。オレンジの枠で囲んだ60歳以上の口座数の比率は2016年末時点で52.5%と、2015年の53.9%、2014年の56.7%から低下トレンドにあります。一方、20歳代の口座数は停滞しているものの、30歳代、40歳代のシェアは拡大しており、NISA口座が現役世代に広がっていることが確認できます。ジュニアNISA口座は、スタートから1年で19万4,579件となっており、2016年は緩やかながら現役世代・未成年層でNISA口座開設の動きが広がったと言えそうです。

年代別のNISA・ジュニアNISA口座の累計買付額(億円) (出所:金融庁資料を基にドイチェ・アセット・マネジメント(株)資産運用研究所が作成)

一方、年代別の累計買付額で見ると、口座開設数と比べて投資信託市場の既存投資家層の中心といわれるシニア層の存在感が大きくなっています。上のグラフで累計買付額における60歳以上の比率を見ると、2016年末時点で59.1%と、2015年の59.8%、2014年の60.8%からシェアは低下傾向にあるものの、80歳以上の累計買付額のシェアが上昇するなど、依然として6割近い水準となっています。2016年4月からはジュニアNISAの買付がスタートしましたが、その買付額は288億円と、シェアは0.3%にとどまっています。そういった意味では、NISA口座の開設だけでなく、現役世代を中心にその利用を推進していくことが引き続き大きな課題となりそうです。2018年1月には最長20年の非課税期間となる「つみたてNISA」がスタートするなど制度の後押しもあり、新規の投資家を開拓するとともに実際の投資開始をサポートすることで、現役世代のシェア拡大をスピードアップしていくことが期待されます。

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