2017年4月10日

ドイチェ・リポートHighlights_Vol.15

3月17日に日本銀行が2016年10-12月期の資金循環統計を発表しました。10-12月期は、11月8日の米大統領選挙でのトランプ氏勝利を受けた米財政政策への期待感などから大幅な円安・株高が進み、株式や投資信託などリスク資産の残高が大きく増加しました。2016年12月末時点の家計金融資産残高は前期比+2.7%の1,800兆2,632億円と2四半期連続で増加し、2015年末に記録した1,783兆3,671億円を超えて過去最高を更新するとともに、初めて1,800兆円の大台に到達しました。以下、主要金融商品について、足元の家計金融資産の状況を確認します。

家計金融資産における主要金融商品の残高シェアの推移

上のグラフは、各金融商品が家計金融資産全体に占めるシェアですが、「現金・預金(外貨預金を除く)」の比率が51.7%と2四半期連続で低下する一方で、リスク資産である「株式・出資金」と「投資信託受益証券」(以下、投資信託)は2四半期連続で上昇していることが確認できます。投資信託のシェアは長期的に上昇トレンドとなっているものの、昨年12月末時点の投資信託の残高は96兆4,323億円で、過去最高となった2015年6月の98兆2,872億円には届いておらず、そのシェアは5.4%にとどまっています。また、外貨建て資産に投資する金融商品としては、外貨預金のシェアが2四半期連続で上昇したほか、対外証券投資のシェアも2四半期連続で上昇しており、ここでも円安外貨高で評価額が増加したものと考えられます。続いて、主要金融商品の資金フローを見てみましょう。

家計金融資産における主要金融商品の資金フローの推移

上のグラフを見ると、「現金・預金」は賞与の影響などから季節性が見られるほか、「株式・出資金」は日本株が上昇した局面で資金流出になるという関係を読み取ることができそうです。また、2016年1-3月期、4-6月期と資金流出が続いた投資信託は2四半期連続の資金流入に転じています。これは資金循環統計の投資信託にMRFなど公社債投信が含まれているためで、10-12月期は株式投信は大幅な資金流出となっていますが、それがMRFに滞留したことがうかがえます。

一方、「国債・財融債」は32四半期(8年間)連続の資金流出が続いたものの、その流出額は2016年に入って大きく減少しており、2016年の年間の資金流出額はこの8年で最低水準となりました。個人向け国債の償還がピークを越えたことに加えて、日銀のマイナス金利政策で適用利率に下限が設けられた個人向け国債を見直す動きが広がったことが背景にあると思われます。なお、外貨建て資産に投資する金融商品としては、外国証券や外国投資信託が含まれる「対外証券投資」が2四半期連続の資金流入と、それまでの6四半期連続の資金流出から資金フローが改善してきました。また、「外貨預金」も2四半期連続の資金流入となっており、外貨に対して個人投資家の強気な見方が出てきた可能性もありそうです。

最後に、家計部門の外貨建て金融資産の残高も見ておきましょう。定義としては資金循環統計における外貨預金、対外証券投資に加えて、公募投資信託のうち、投資対象が日本のみとなっているファンド(日本株ファンド、日本債券ファンド、J-REITファンド、日本のみのバランス型ファンド)を除いた株式投信を集計したものです。

家計金融資産における外貨建て資産の残高(推計)

上のグラフは家計金融資産における外貨建て資産の残高推移を示したものですが、2016年末時点で72兆6,815億円と2015年末の73兆2,689億円から小幅ながら減少し、年末ベースでのピークである2014年末の81兆813億円から減少が続いています。また、家計金融資産全体に占める比率は4.0%と2年連続で低下し、こちらは年末ベースのピークである2007年末の4.7%に届いていません。もっとも四半期毎に見れば投資家の外貨建て資産の残高は増加に転じており、この動きが継続するためには、投資家のインフレや為替相場に対する見方が重要になりそうです。

D-170405-2

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