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2020年12月

原題:ESG in Strategic Asset Allocation (SAA): A practical implementation framework


レポートの要約



過去数年、ESG要素を各資産クラスにおける投資プロセスに統合する手法に関して多くの研究が発表されてきましたが、ポートフォリオ全体、すなわち戦略的資産配分(SAA:ストラテジック・アセット・アロケーション)レベルにおける研究は未だに極めて限定的です。国連責任投資原則(PRI)も2019年に発行したレポート*1において、SAAへのESG統合は「投資実務で見込まれる有用性に見合う量の研究が進んでいない分野」としています。

本レポートはこの未開拓の研究領域に焦点を当て、全体的なマルチアセット・ポートフォリオ・レベルでのESG統合を促すことを目的としています。具体的な研究目的は、①ESG統合がリスク調整後リターンに与える潜在的影響の解明、②そのような影響を最小化する最適な手法の特定、の2点としました。

分析の結果、従来の市場指数ベースのSAAに対して、リスク調整後リターンを大きく変えずにトラッキング・エラー(TE)も低水準に抑えつつ、ESGリスクを大幅に削減したポートフォリオの構築が可能との結論が示されました。

各投資家のリスク予算(TEの許容範囲)とESG改善効果に対する期待度が最終的なバランスを決めるものの、ポートフォリオのTEを0.75~1.00%の水準に抑えた場合にESG特性の最適化が達成可能という推論が得られました。

さらに、本レポートでは下記の発見が示されました。

-ESG統合は個々の資産クラス、ポートフォリオ全体のいずれのレベルにおいても実践可能である。さらに、SAA最適化とESG指数の利用を組み合わせた混合アプローチが、ESG効用とトラッキング・エラーの観点から最も効率的である。

-地域別指数、セクター別指数またESG指数などの指数群を用いた最適化によるシンプルなESG統合は、異なる水準のESG改善効果をもたらすが、指数やファンドの選択による影響を大きく受ける。トラッキング・エラーが0.25%と同じ水準であっても、F格銘柄(ESG最低格付銘柄)およびカーボン・インテンシティ(炭素強度)がともに10%低減に留まるケースもあれば、F格銘柄の80%低減とカーボン・インテンシティの50%低減を実現するケースもある。

-地域配分の変更 (例えば、一般的な時価総額加重ポートフォリオにおける、米国対比での欧州の配分引き上げ) による、ポートフォリオのESG改善効果は限定的である。

-地域別指数よりも、伝統的なセクター指数を用いたSAA最適化の方が、ESG改善効果は大きい。

-ESG指数を用いたSAA最適化の方がはるかに優れたESG改善効果が得られる。従来のポートフォリオと比べて、トラッキング・エラーを0.25%の水準に抑えつつ、ESG最低格付け銘柄*2への配分を80%、カーボンフットプリントを50%削減することも可能である。


シンプルさおよび幅広い適用性の観点から、本レポートでは、ポジション複製のための指数群が存在する、流動性の高いグローバル資産を主な研究対象としました。我々が構築した当フレームワークは、既存のESG指数を活用したものであり、ESGに関するポートフォリオ指標の調整を通じて、気候変動リスクといった様々な問題への適合が可能であることが明らかになりました。もちろん、戦略的ポートフォリオ全体のESG特性を向上させる上では、オルタナティブ資産も重要な役割を担うものと考えられますが、当フレームワークでは、流動性のある資産配分を対象に、直感的で実行可能なソリューションを提示することを目的としました。

*1 https://www.unpri.org/embedding-esg-issues-into-strategic-asset-allocation-frameworks-discussion-paper/4815.article
*2 格付けはDWS ESGエンジンを用いて算出しています。詳細はレポート(PDF)をご参照ください。



本レポートの構成

先行研究の整理
SAAにおけるESG統合に対するDWSのアプローチ
前提および潜在的な課題
実施方法
指数ユニバースの定義
ESG評価手法の定義と定量化
リスク・パラメータの設定
目標シナリオの定義:ESG指標とリスク・パラメータ
SAA最適化の実施
長期市場見通しとESG 予測
分析結果
1. 伝統的な資産クラスを用いたSAA最適化
2. 伝統的指数のESG 指数への置換効果
3. 複合的なSAA最適化
結論

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