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2020年6月

原題:Investing for a green or dirty planet


レポートの要約



新型コロナウイルスによるパンデミックは、経済性、人々の健康、経済の健全性の相互関連性を再認識させる出来事であり、地球温暖化の対策を加速させると考えられます。インドにおける空前の環境汚染や、オーストラリアで昨年発生した森林火事などは、現状の経済・産業構造が持続可能ではなく、環境に対する態度や行動、そして投資にも変化が必要であることを示しています。当レポートでは、気候変動および脱化石燃料のリスクを株式市場が正しく反映しているかを検証します。

気候変動リスクのうち移行リスク(低炭素社会への移行に伴うリスク)について、グローバルに事業を展開する約900社のバリュエーション(DWS独自のCROCIモデルで算出)と気候変動/移行リスク(DWS ESG Engine®が算出したスコア・レーティング)の関係を検証しました。ただし、新型コロナウイルス危機前のデータを使用することで、市場に極端なストレスがかかっている状態での検証を避けました。多くの企業のバリュエーションは気候変動/移行リスク・レーティングに若干の影響を与えていたようですが、同時に、今回のパンデミック受けて気候変動/移行リスクが株式市場において大幅に織り込まれた兆候もありませんでした。

DWS独自のCROCIモデルは各企業の真の収益性および企業価値を明らかにするため、地域やセクターの垣根を越えた幅広い企業の比較を通じて、以下の発見がありました。

1. 約900社のうち、過剰な気候変動/移行リスクを抱える企業の時価総額はわずか12%に留まる。また、約900社の企業収益の約60%が中・低リスクと評価されたが、特に米国と日本では企業収益の気候変動/移行リスクに対するエクスポージャーが小さい。

2. 高い気候変動/移行リスクを抱える企業の設備投資額は全体の約36%を占めており、時価総額ベースの比率の約3倍となる。その背景には、エネルギー関連企業がソフトウェア関連企業よりも多額の設備投資を要するなど。

3. 炭素集約度の高い企業による約6,500米億ドル(約70.6兆円*)に及ぶ設備投資は、将来の異常気象を防ぐために変更を迫られる可能性あり。炭素集約度の高い設備投資をする企業は、現在のところ減少の兆しが見られず、経済的寿命も長く、2042年までは投資に対するリターンが得られると見込まれる。

4. 気候変動に関して中・低リスクの企業への株式投資による、バリュエーションのプレミアムは見られず、株式市場が全体として気候変動/移行リスクを織り込んでいないことを示唆する。これは、不十分な公共政策と、一部の投資家による気候変動/移行リスクの無視または軽視が組み合わさった結果と考えられる。

5. 高い気候変動/移行リスクを抱えている企業は収益性が低く、株主価値を毀損している。これらの高リスク企業にとって、化石燃料関連の設備投資の削減、低炭素事業へのシフトによる収益性の改善、あるいは株主への資本払戻し、のいずれかが賢明な判断となる。

6. 投資家によるエンゲージメントは強化されつつあるが、一部の資産運用会社は未だにESGや気候変動に関する株主提案に対して反対票を投じている。しかし、気候変動の緊急事態により、アセット・オーナーによる資産運用会社に対する要求が強まり、結果として、資産運用会社による企業への要求が強まると考えられる。


* 1米ドル=108.61円として換算、2019年12月31日時点

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