「我々は2024年の投資に関して2023年末時点で設定した目標株価と目標債券価格を維持します」と、グローバルCIOのビヨルン・ジェシュは述べています。企業収益予想が上向きのトレンドになっているのは世界の中で日本だけです。
#1 市場とマクロ経済
「日本株式に対して引き続きポジティブ」2024年の年明け早々、米国では再びアップサイドのサプライズがありました。2023年第4四半期について発表されたデータで、堅調な経済成長、良好な経済指標、インフレ率の低下、低水準の失業率が確認されたためです。「今のところ、米国経済が弱含むとしても第2四半期中に一時的なものになる可能性が示されており、我々は本格的な景気の落込みはないと考えています」とグローバルCIOのビヨルン・ジェシュは述べています。これはリスク資産にとっては好材料です。「1株当たりの利益成長率の予測に大きな障害はない見込みです。さらに、社債のリスクも限定的でしょう」とジェシュは続けています。
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資本市場を牽引するトピックス
経済:ユーロ圏の景気後退は回避、米国は比較的堅調
- ユーロ圏は第4四半期に厳密な意味での景気後退を免れた。スペインとポルトガルの経済成長が堅調で、イタリアも相応に成長したため。2023年のドイツの経済成長は0.1%低下した。
- 足元の米国労働市場のデータは大方の予想よりもかなり良かった。中国経済はボトムアウトしつつあるようだ。
インフレ率:ユーロ圏では緩やかな減速にとどまる
- ユーロ圏でインフレ率低下のペースは非常に遅い。特にコアインフレ率の低下はわずかで、やっと3.3%になった。賃金と密接に連動するサービスセクターのインフレ率には全く変化がない。
- 我々は米国のコアインフレ率は徐々に低下していくと予測しているが、上昇するリスクもあると考える。総合インフレ率のリスクファクターは依然として消費財。
中央銀行: FRBもECBも依然として金利の見通しについては慎重
- 米連邦準備制度理事会(FRB)はこのところ利下げについてかなり慎重になっている。FRBのジェローム・パウエル議長は直近の会合でインフレとの戦いが進んでいることを強調したが、インフレ圧力がまだくすぶっていることに警告を発した。我々は米国の最初の利下げは第2四半期になると見込む。
- 欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁も1月末に開催された直近の会合において、現時点での利下げ議論は時期尚早であると述べ、FRBとほぼ同じ程度の慎重さを見せた。我々は利下げが2024年6月以降になると考える。
リスク:さらなる地政学上のショック
- ロシアによるウクライナに対する侵攻の継続、ハマスとイスラエルの間の紛争といった深刻な政治的危機とともに、こういった事態の今後の推移も引き続き非常に大きな不確実性を生んでいる。
- 欧州のリスクシナリオの1つが、中国と米国からの需要の減退。もう一つの潜在的なリスクは、エネルギー問題の再燃。
- 新興国については、地政学上のリスクに加えて、今後予定されている多数の選挙からもさまざまなリスクが生じる見込み。さらに、米ドル高を受けて中央銀行は自国の金利を引き下げられなくなる可能性がある。
#2 株式
企業業績の今後の動向がカギ「一見すると市場は昨年の延長線上にあるように見えます。2024年の年初数週間、人工知能(AI)とテクノロジーが引き続き最大のパフォーマンスを挙げています」とポートフォリオ・マネジャーのマドレーヌ・ロナーは述べています。しかし今年に入って、S&P500種株価指数の構成銘柄で最大の「マグニフィセント・セブン」に明らかな違いが生まれています。マグニフィセント・セブンによる市場の独占が進むと、株価も上昇していました。こういった銘柄の突出したパフォーマンスは、主に企業業績の上ぶれによって押し上げられています。よって、単なる熱狂にとどまらないパフォーマンスであると言えます。 もちろん、投資家による乗り遅れの懸念もマグニフィセント・セブンに高い需要が集まる要因となっています。最も重要な問題は、企業が収益の上ぶれというトレンドを維持できるかどうかです。つまり、今と同じペースで成長し続けられるかどうかが問われます。しかしここで大数の法則が作用し始める危険性もあります。つまり、こういった企業は売上も収益も高いことから、継続的に成長率を加速させにくくなる、ということです。マグニフィセント・セブンに加えて、今の市場にはバリュエーションに関わらず勢いのある銘柄を買おうとする前のめりな姿勢があり、これは非常に懸念すべきことです。 米国経済を見ると、企業部門は政府主導の産業再生とそれに伴う補助金から恩恵を受けています。「このため、現時点で米国は欧州に比べて優位になっています」とロナーは指摘しています。米国株式に期待を寄せるもう1つの理由は最新の米国の購買担当者景気指数です。2022年8月以来初めて、新規発注が再び拡大しています。このトレンドが続けば、景気敏感企業には前向きなサインになるでしょう。ロナーは特に、電動化に力を入れている企業を選好します。さらに、民間航空宇宙産業セクターにも高い株価上昇余地があります。 |
米国株式
短期的にはダウンサイドリスクの方が大きい
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ドイツ株式
現在の高い株価水準を受けて株価上昇余地は見込めない
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欧州株式
欧州企業と米国企業の収益成長の差が縮まる
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新興国株式
現時点ではインドが中国よりも有望
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#3 マルチアセット / 債券
リターンを生むポートフォリオには債券資産が再び重要に「どのような資産アロケーションにすればポートフォリオの目標リターンである4%を達成できる可能性が高かったかを調べると、時期によって 投資ユニバースが大きく変化したことがよくわかります」と西欧地域CIOのヴェラ・フェーリングは述べています。低金利の時代には、目標リターンを達成するにポートフォリオの100%を株式に振り向ける必要がありました。しかし、状況は大きく変わりました。「現在、グローバル市場ポートフォリオのアロケーションにおいて、ポートフォリオの中で最大となる約41%を債券に配分すべきだと我々は提案しています。 株式のアロケーションは債券に次ぐ2番目になり、現物短期債券とほぼ同じ水準の約28%です」。 目標リターン達成のために取るべきリスクが大幅に下がるため、投資家には好材料です。リターンの源泉として有望なのは欧州投資適格社債とアジア社債です。欧州ハイ・イールド債券については、この数年間価格が堅調に上昇したため投資妙味が低下しており、より慎重になるべきです。少なくともいくつかのケースにおいて、スプレッドはリスクを適切に反映していません。 |
米国国債 (10年物)
短期年限の国債が長期年限よりも有望
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ドイツ国債 (10年物)
価格上昇の可能性は現時点では低い
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新興国ソブリン債
アジアのソブリン債が有望
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社債
投資適格
ハイ・イールド
#4 通貨
ユーロ/米ドル
短期的にはユーロが弱含む可能性も
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#5 オルタナティブ資産
金
2024年下半期に順風を予想
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凡例短期および長期見通し 指標は、DWSが当該資産クラスに関して上昇、横ばい、または下落の見通しを示しています。 |
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出所:DWSインベストメントGmbH、2024年2月9日時点
ご留意事項
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ません。
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