2017年1月25日

グローバル株式バリュエーション:
歴史的に見て割高だが当面この水準を保てるだろう。

 

長期的にはリスクも

現在のグローバル株式のバリュエーションは歴史的に見て割高であり、2017年も企業収益の成長率がインフレ率を下回ることが予想される中、長期的な投資家にとっての株式リターンの上振れは期待できません。とは言え、強い経済ファンダメンタルを下支える要素が複数あり、経済の大きな一時的下振れを想定していないので、株価は当面この水準を保てるだろうというのが、我々のメイン・シナリオです。

株価は、究極的には、企業の収益と投資家のリスク選好度の2つで決まると言うことが出来ます。企業の現在の収益を基に計算する株式の割安指標であるエコノミックPERの中央値を見ると、金融危機以降の企業収益の悪化と投資家のリスク選好度の上昇により、1999年のITバブル以降最も高い水準にまで上昇しています(図表1)。

 

(図表1)

1996年以降の平均エコノミックPER

 

一方の投資家のリスク選好度は、クロッキー(CROCI)モデルでは、グローバル株式全体を長期保有した場合の期待実質利回りとして計算する資本コストで測ります。リスク選好度が上がると(リスクオン)資本コストは下がり、リスク選好度が下がると(リスクオフ)資本コストは上がるという関係にあります。資本コストは、2012年以降0.6%低下して5.0%になっており(図表2) 、この間の株価上昇はほぼ投資家のリスク選好度の上昇のみによるものと説明できます。もし資本コストがさらに2008年のボトム水準(4.7%程度)まで低下するなら、それは株価があと30%上昇することを意味します(図表3)。

しかし、ファンダメンタルを重視する長期投資家はその前に危険を察知するでしょう。資本コストの長期平均は5.4%であり、クロッキー(CROCI)モデルの分析によると、資本コストは長期的にこの長期平均水準に回帰する強い傾向があるのです。

 

 

(図表2)

2003年以降の資本コストの推移(週次ベース)

 

(図表3)

資本コストとグローバル株式時価総額および企業価値の感応度

 

では、我々の考えるリスク・シナリオをご説明しましょう。
もしインフレ圧力が上昇し経済成長率が期待を下回れば、資本コストは中期的に長期平均まで上昇する可能性があります。保護主義台頭による脱グローバル化の進展はインフレ率上昇の要因となりえます。インフレ抑制のために利上げが繰り返され債券利回りが上昇し、これに伴ってボラティリティーも上昇すると、株式市場は下落する可能性があります。

実質金利が低かったため、株式は債券と比較して割安とみなされて来ましたが、もし債券の実質利回りが正常化し始めると株式バリュエーションも同様に正常化し、この結果株式市場が20%以上下落する可能性もあります。

税率低下と資本投資の低下によりフリーキャッシュフロー利回りが2007年3.5%から2016年には4%以上と、2011年以降で最も高い水準まで上昇し、これが低金利環境下にも関わらず2.6%という魅力的なグローバル株式配当利回りの下支えとなりました。

この結果、2016年を通して、政治的不透明感が高まる中でも、株価が下落する局面では押し目買いが見られました。一方で、企業売上成長率の鈍化は、引き続き株価の重石となっています。トランプ新大統領の財政政策により債券利回りの上昇とインフレ率の上昇が同時に起こると、1987年のように株式バリュエーションが大きく低下する可能性があります。

クロッキービュー:2017年の株式相場見通し

Copyright © ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第359号
加入協会 日本証券業協会・一般社団法人投資信託協会・一般社団法人日本投資顧問業協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
【当社を装った詐欺的行為にご注意ください。】