2017年3月号

脱グローバル化:先進国のインフレ率上昇が潜在リスク

グローバル化による新興国への生産移転でディスインフレが発生

グローバル化により先進国の製造業は生産工場を相次ぎ低賃金での生産が可能な新興国に移転し、中国は世界の工場となりました。そして、生産工場を中国やその他の新興国に移転し、コスト削減に成功した先進国の企業が勝ち組となりました。これにより新興国では雇用が創出され、所得が増加した結果、新興国は経済成長を実現しました。

一方で、先進国では製造業の労働人口が減少し(図表1)、労働市場が二極化しました。 (図表2)さらに、テクノロジー革命が二極化を加速させました。テクノロジー革命により、20年後には現在の就業人口の50%近くが消失するとの調査報告もあります(e-tailingの普及により、米小売業界の就業者数が40%減少する可能性があると当社では予想しています)。

 

(図表1)

米国の製造業雇用者数の推移

 

 

(図表2)

OECD諸国の労働市場は二極化(1993年-2010年)

脱グローバル化による生産性低下とインフレ圧力の上昇がテールリスク

足元、政策当局者の間で「脱グローバル化」による自国内での雇用創出が主要課題になっております。今後、グローバル化による米国企業の生産性向上の流れが一転し、脱グローバル化により労働生産性が低下、企業収益率が悪化する可能性があります。低技術労働の米国内回帰によりインフレ圧力が上昇し、結果として国内総生産も上昇しない可能性すらありえると考えます。しかも、製造業が米国内に回帰しても、ロボット化が進むことでさらに雇用促進につながらない可能性があります。

また、これまでグローバル化の恩恵を受けてきた新興国への影響も懸念されます。特に中国への影響は大きいと考えます。中国一国でグローバルの固定資産投資額の5分の1以上を占めるため、中国経済の調整はグローバルの固定資産投資の大きな低下につながる可能性があります。

米国(および複数の先進国)の金利は底を打ったというのが市場コンセンサスとなっておりますが、更なる金利上昇を正当化できるほど世界経済は成長し続けることが可能なのでしょうか。

脱グローバル化の時代における投資戦略

2015年までの数年間は、ファンダメンタルを重視する投資家にとっては受難の年でした。それまで15年間に渡りパフォーマンスが好調だったファクターである「バリュー」と「クオリティ」がアンダーパフォームし、代わりに「グロース」「モメンタム」「(業績、キャッシュフロー、配当などの)修正」といったファクターのパフォーマンスが好調でした。

グローバル経済の成長見通しが好転する中、2016年は再び「バリュー」が好調でした。 (図表3) 脱グローバル化などの影響もあり、グローバル経済の成長見通しに対して楽観的になれない投資家にとっては、クオリティーの高い銘柄が多い「ディフェンシブ・バリュー(財務レバレッジと価格変動率が高くなく、リターン面で見て割安な銘柄)」がより魅力的かもしれません。

 

(図表3)

2016年株式市場ファクター分析-上昇・下落に最も寄与したファクター(2016年11月30日まで)

 

「ディフェンシブ・バリュー」は経済回復の初期には、より経済成長見通しの変化に対する感応度の高い「アグレッシブ・バリュー(資産面で見て割安な銘柄、結果としてよりリスクが高い傾向がある)」に出遅れる傾向があります。実際、2016年は「アグレッシブ・バリュー」が「ディフェンシブ・バリュー」を大きくアウトパフォームしました。 (図表4)しかし、長期的に見ると、「ディフェンシブ・バリュー」は「アグレッシブ・バリュー」と同水準のリターンを実現しています。 (図表5)

 

(図表4)

2016年 地域毎のバリューファクターパフォーマンス

 

(図表5)

グローバル・アグレッシブバリューとディフェンシブバリューの長期パフォーマンス

クロッキービュー:2017年の株式相場見通し

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