2017年5月

相変わらず、相変わらずの状況が続く

要旨:

  • 1. 近年の米国の利益成長は主に情報技術、ヘルスケアと一般消費財によって支えられている
  • 2. 全体的には株価は上昇したものの、年初から景気敏感銘柄のパフォーマンスは軟調である
  • 3.  トランプ政権の経済政策の影響を判断するのは時期尚早だが、投機的な市場環境下ではファンダメンタルズを重視した銘柄選択を行うべきと考える


米国における良好な企業決算は、投資家心理の改善につながりますが、同様に期待外れな場合は投資家の気分を下げるものです。ブルームバーグによれば2017年の第一四半期の決算を受け、S&P500種指数構成銘柄の売上は9%、利益は25%、前年同期比でそれぞれ拡大しました。トランプ政権による市場に友好的な公約と併せて、今回の良好な決算で市場の楽観的見方がさらに広がる可能性があります。ただ、次の重要な点についても考える必要があります。


  • ● 2010年以降、S&P500指数は約90%上昇しましたが、米国の経済的利益は24%(インフレ調整後)しか伸びていません。高い期待感が織り込まれたことから株価は割高になりました。
  • ● 利益の成長は主に3つのセクター(情報技術、ヘルスケアと一般消費財)によるものです。情報技術セクターの利益成長率は特に高く、経済的利益は50%近く拡大し、年率では約5.6%(インフレ調整後)ほど伸びています。一般消費財とヘルスケアの両セクターも情報技術セクターに次ぐ高い利益成長を見せ、年率でそれぞれ、4.5%と4.3%成長しています。両セクターの経済的利益は3割以上(インフレ調整後)拡大しています。
  • ● その他のセクターの利益成長は冴えず、上記の3セクターを除くと、S&P500指数の構成銘柄のうち、クロッキーがカバーしている銘柄群の経済的利益は、同期間において5.9%程度、年率では1%未満(インフレ調整後)の成長にとどまっています。

しかしながら、最も興味深いのは、年初来のパフォーマンスが最も良いセクターは、まさに前述の3セクターであるという点です。金融や資本財といった景気に非常に敏感なセクターは今年に入り、S&P500指数をアンダーパフォームしています。

結局のところ、もし経済成長が持続的に加速しているのであれば、景気循環セクターは、より堅調なパフォーマンスを期待できたことでしょう。ただ実際には、相変わらずの状況が、相変わらず続いているのです。

現時点でトランプ大統領の経済政策の真の影響を判断するには、おそらく時期尚早であり、足元の市場は2016年第4四半期の急騰を受け、まだ期待値を見直している可能性があります。いずれにせよ、2017年のクロッキーの見通しにおけるメインテーマを思い出してください。すなわち、新たな経済の均衡点に達するまでには、時間と忍耐が必要になりそうだということです。過去十年にわたり、市場のバリュエーションが、ファンダメンタルズを上回ってきましたが、そのような動きを解消するには、この第1四半期の良好な決算だけでは力不足でしょう。

このような環境の中で投資家はどのような投資を行えばいいのでしょうか。投資家はトランプ政権の経済政策の影響を読み解こうとしていますが、次の点を指摘しておきたいと思います。すなわち①前述の3セクターについては、パフォーマンスが好調であるにもかかわらず、堅調な利益成長のおかげで、バリュエーションに顕著な割高感は見られませんが、②46%の米国企業のバリュエーションは割高になっており、バブルに近い水準にまで達している可能性があると言えます。長期にわたるクロッキーチームの「バブル分析」によれば、この46%という比率は、1999年以降で最も高い値となっています。投機的な動きを伴う過熱した市場環境下では、ファンダメンタルズと最も割安で魅力的な銘柄に集中することが大事だと考えており、またそれこそが、クロッキー戦略の目指すところなのです。

経済的利益:会計利益とは異なり、会計ルールではなく、経済的な観点から捉えた現実的な利益

クロッキービュー:2017年の株式相場見通し

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