2017年4月

冷酷な選択 

期待主導で大幅に上昇した株式市場の勢いも失速しつつある模様

3月初旬は、投資家が突如としてトランプ大統領への信頼を無くす転換点だったと言えるのでしょうか?2017年最初の2ヶ月、米国株式のパフォーマンスは欧州株式を大きく上回り、欧州以上に米国の経済を加速させるという新大統領の能力を一見裏付けているようにも見えました。しかし3月に入り、S&P500のパフォーマンスは0.1%にとどまり、STOXX 600のパフォーマンス(米ドルベース)を4.2%も下回りました。

「クロッキー2017年の見通し」においても、懸念点のひとつとして経済政策の実行の遅延が市場の苛立ちを招く可能性をあげていました。そして今、ほぼ一夜にして、米国経済は、手品師が帽子からウサギを取り出すようには簡単にはいかないと市場は確信したようです。


ファンダメンタルズへの回帰?

基本的には、米国、欧州または日本のどの地域に投資するかの選択は、どのようなエクスポージャーのタイプ(ベンチマーク投資か銘柄選択か)を求めるのかという問題に還元されます。広範な市場のエクスポージャーを求めている投資家は欧州を選好するでしょう。エコノミックPBR上では、欧州株式は米国株式より60%ほど割安となっています。(絶対的、相対的のどちらで見ても、米国のバリュエーションはインターネットバブル以降最も高くなっています。)そのため、バリュエーションで地域別アロケーションを定めると欧州と日本が共にオーバーウェイトになるのです。

欧州の魅力的なバリュエーションは、長期的な前提に基づく欧州の銀行セクターの割安なバリュエーションにも裏付けられていると言えるでしょう。投資家は米国の銀行のバランスシートと収益性に満足していたことから、2016年以降の金融セクターのパフォーマンスを比較すると、米国は欧州を21.5%(米ドルベース)上回りました。その結果、米国の銀行のPBRは1.6倍と、2008年の水準に近づきつつあり、その一方、欧州の銀行のPBRは1.1倍と、2008年の水準の2/3にも達していません。


「ベンチマーク投資」対「銘柄選択」

ただ、確信を持って銘柄選択をする人はやや異なる角度で今の状況を見ています。このような投資家にとって、どの市場が全体的に最も割安なのかが問題なのではありません。彼らにとっての問題は微妙に異なるものです。すなわち、どの市場において最も有望なバリュー銘柄群を見つけられるのか、ということです。

クロッキー米国株やクロッキー欧州株といった戦略は、エコノミックPERを基に対象地域におけるカバー銘柄群の中から最も割安な40銘柄を選択する、典型的なバリュー銘柄ポートフォリオです。広範な地域においてバリュエーションは収斂しているのにもかかわらず、両地域ではバリュエーションが大きく乖離しています。クロッキー米国株戦略のバリュエーションの中央値(2017年の予想エコノミックPERは19.1倍)はクロッキー欧州株戦略より約20%低く、市場全体に比べても1/3ほど割安となっています。財務状況も堅調で、クロッキー米国株戦略のフリー・キャッシュ・フローに基づく収益率は6.8%とクロッキー欧州株戦略より1/3以上高く、現金ベースのリターンもクロッキー米国株戦略の方が50%高くなっています。

クロッキー日本株戦略のバリュエーションも魅力的な水準にあり、2017年の予想エコノミックPER中央値は19.8倍です。エコノミックPERベースで見ると、日本は日・米・欧の中でバリュエーションが最も分散しており、市場の中央値と最も割安な上位10%との間には50%近くの差があるため、銘柄選択の好機を提供しています。ただ、フリー・キャッシュ・フローに基づく収益率は5.8%と、クロッキー米国株戦略ほど高くはありません。


決定を下す

米国と欧州は地域毎に、また投資家によってもそれぞれ魅力が異なるのは明らかです。最終的にどの地域に投資するかについては、どのようなエクスポージャーを求めているかによって変わっていきます。ベンチマークへのエクスポージャーを望んでいるパッシブ投資家であれば欧州への投資が正解かもしれません。一方、銘柄選択を行う投資家は米国にチャンスを見出すことになりそうです。

クロッキービュー:2017年の株式相場見通し

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