2017年3月

市場の楽観はいつまで続くのか

トランプ氏が大統領選に勝利したことは、市場に新たな勢いをつけることになりました。今後の経済成長に対する楽観論が高まる中、リスク性資産のパフォーマンスが向上しました。米国S&P500指数は2月に約4%上昇し、昨年の10月からでは約12%上昇しました。これは、米国S&P500指数の4カ月のパフォーマンスとして、2013年以降で最高のものとなりました。

ディープバリュー銘柄(低PBR銘柄)はさらに良好なパフォーマンスを見せ、同期間において、米国ディープバリュー40銘柄(クロッキーが分析対象とする米国株式のうち、エコノミックPBRが最も低い40銘柄)のバスケットは14.3%上昇しました。この堅調なパフォーマンスは驚くべきことではないでしょう。保有する資産に対して株価が割安となっている企業は、一般的に収益性が低く、営業レバレッジが高くなります。そのため景気変動に敏感であることが多く、概して景気拡大期においては、好調なパフォーマンスを示すのです。


今後の展開

日本は興味深い実例ではないでしょうか。市場は、2012年の衆議院議員総選挙直前に、自民党がマニフェストで改革を掲げたことから、高い経済成長を織り込むようになりました。TOPIX 100はディープバリュー銘柄がけん引役となり同年11月14日から12月16日(投票日)の約1カ月で約11.5%上昇しました。その後6カ月間は上昇トレンドが続き、TOPIX 100は約81%の上昇となりました。

この日本での出来事は今後の米国株式市場にとって良い兆しかもしれません。しかし、投資家は、次のような違いについても考える必要があります。

  • 1. 日本株式が上昇局面にあった際、エコノミックPBRが1倍以下の日本企業の割合は70%以上でした。一方、足元でそのような米国企業の割合は7%にとどまっています。
  • 2. 当時、収益構造の改善に対する市場参加者の期待は低く、2012年末における日本企業のエコノミックPERの中央値は19.4倍で、欧米株式のエコノミックPERの中央値(約22倍)より12%割安な水準にありました。米国企業の足元のエコノミックPERの中央値は28.6倍と、2001年以降最も高い水準となっています。
  • 3. 米国企業は、日本企業に比べ営業レバレッジが低いことから、日本企業と同程度の収益性の改善には大幅な増収が必要となります。

米国株式の行方は

トランプ政権は公約通りに物事を進められているように見えますが、今後の道のりは決して平坦とは言えないでしょう。日本株式は、急上昇後にジェット・コースター相場と化し、続く3年間のTOPIX 100のパフォーマンスは2.1%(年率)であったのに対し、ボラティリティは22.7%でした。対照的なパフォーマンスとなった背景には、投資家が、公約の実現が事前の想定以上に困難であることに気付いたことがあるのかもしれません。

市場では、引き続き楽観的な見方が支配的ですが、足元で発表されている米国企業の売上高や利益成長率は決して良好とは言えません。2016年11月時点では、米国企業の15%が2017年に減収になると予想されていましたが、現時点では、この割合がすでに20%に上っています。

株価のバリュエーションが割高にもかかわらず、企業業績のファンダメンタルズに改善の兆しが見られない中で、投資家が、目的地よりもむしろ、そこに至るまでの長い道のりに注目するようになるのは時間の問題でしょう。

クロッキービュー:2017年の株式相場見通し

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