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2017年4月25日

投資家の皆さまへ

市場における「トランプ効果」のほどは?


トランプ米新大統領が「就任後初めてとなる重要法案を議会採決直前に撤回する」という華々しい失態を演じたにも関わらず、市場がこれを特に材料視しなかったのはなぜでしょうか。またトランプ氏の「政治交渉力のなさ」が、いわゆる「トランプ・ラリー」の終焉につながらないのはなぜでしょうか。その理由は恐らく、今回の堅調な相場展開が結局のところ「トランプ・ラリー」ではなく、成長率とインフレ率の持続的な上昇への期待感に基づく上昇相場だからでしょう。2016年半ば以降は、この期待感が世界各国の債券、通貨、株式市場を動かす原動力になってきたと考えられます。特に景気指標から判断する限り、今のところ希望はほとんど失われていません。中でも景況感を示す指標は足元で好調な推移を見せています。2017年、企業は希望に満ちあふれたスタートを切り、アナリストは業績予想の上方修正に動きました。

このような楽観姿勢とトランプ氏との間につながりはあるのでしょうか。確かに、米大統領選が市場の追い風となったことは、否定し難い事実として挙げられます。しかしながら、追い風をもたらした主な要因は、ホワイトハウス(政府)と議会のねじれ状態が解消され、また何よりも共和党が支配を取り戻した結果として、投資家が安心感を抱いた点にあると考えられます。これに加え、トランプ氏は行動を起こすことを恐れない大統領である、との認識もあったでしょう。しかし2016年12月以降、S&P 500種指数は世界の株式市場に追随するのみの状態が続いており、国内事業に重点を置く企業が多く含まれるラッセル 2000指数は、他の市場を下回って推移しています。これは、トランプ大統領が就任以降、市場の楽観につながる材料を何ら生み出していないことを示唆しているのではないでしょうか。トランプ氏の独断的な政治姿勢を市場がどのように捉えているかを最も強く映し出す指標は、恐らくメキシコ・ペソの対米ドル相場でしょう。米大統領選後、そのメキシコ・ペソ相場は米ドルに対して最大20%下落しましたが、3月末までに下落分をほぼ取り戻しました。

このように現在、メキシコ・ペソの買い手は楽観姿勢を強めていますが、その前向きな見方からは、投資家が「トランプ氏の保護主義的な政策は、医療制度改革や一部諸国からの入国を禁じた大統領令と同じく、失敗に終わる」と考えていることが分かります。投資家の見方に悲観的な部分があるとすれば、税制改革が迅速に実行されるかを疑問視している点でしょう。改革の遅れは、インフラ整備計画が先送りされた場合と同じく、米国人投資家をやや失望させる原因となるかもしれません。しかし経済を後押しする追い風は非常に強く、世界の市場が影響を受ける可能性は低そうです。さらに言えば、世界各国の投資家の多くは、そもそもトランプ氏にそれほど多くを期待していたわけではなく、従って過度に失望することもないと見られます。当社では、2017年も引き続き、「期待し過ぎて失望しないようにする」ことが投資家にとって最良のアプローチになると考えています。資産のバリュエーションは全体として割高な水準にありますが、今のところ景気過熱や金利急上昇の兆候はありません。景気後退リスクは見られません。こうした条件が揃っている限り、夏を前に一時的な調整局面に入る可能性は無視できないものの、市場が弱気相場入りすることはないと考えます。

 

Stefan Kreuzkamp Signed

 

ステファン・クロイツカンプ チーフ・インベストメント・オフィサー
ステファン・クロイツカンプ,
チーフ・インベストメント・オフィサー


  市場にトランプ効果はほとんど残っていません。従って米政権が再び何らかの問題でつまずいたとしても、市場が不安心理に覆われる可能性は低いと考えます。

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